三菱に限らず軽自動車のハイト系ワゴンは主力車種だ。だから各社ともに開発にしのぎを削るし、強力なライバルも数多い。軽ナンバーワンの販売を記録しているホンダN BOXをはじめ、ダイハツ・タントやスズキ・スペーシアがひしめいているカテゴリーである。
ここに三菱がリアスライドドアのスーパーハイトワゴンのワンボックス「eKスペース」を投入。2014年初頭発売をまえに東京モーターショー(TMS)に出品した。日産の軽自動車「DAYZ ROOK」は、同車の兄弟車種だ。
新型は、広々とした快適な居住空間を備えた、乗員すべてにとっての“いい軽(eK=excellent K-car)”を目指して企画・開発したことから「eKスペース」 と命名されたモデルである。同モデルには、標準モデルとカスタムモデルの2モデルを設定している。
「eKスペース」は、軽自動車の限られたスペースを最大限に活用し、軽乗用車で最大級の広さと快適さを備えた居住空間を持つ。前席は余裕のヘッドクリアランス、広いガラスエリア、広がり感のあるインパネなどで運転者に開放感を与える。また、「99%UVカットガラス・フロントドアガラス&フロントクォーターガラス」は主要ユーザーのミセス層に人気の装備だ。
リアシートは子供が立ったまま着替えられるほどの室内高を取って、大人が足を組んで座れるほどのニースペースを確保。加えて、室内の空気を快適に循環させる「リヤサーキュレーター」を軽自動車初採用とした。この装備で、大きなワンボックス型ワゴンでも、エアコンの冷気を後席に送ることが可能になった。また、リヤドアガラスを覆って遮光する「後席ロールサンシェード」を採用。このサンシェードは、非使用時にリヤドアトリム内に収納できる。
乗り降りに便利な後部ドアにはセーフティ機能付のワンタッチ電動スライド式を採用。使いやすさを追求している。これによって、eKスペースは狭い場所に駐車した際、隣のクルマや壁など気にすることなく開閉操作ができる。荷物などで手がふさがっている場合でも「キーレスオペレーションキー」を携帯していれば、ドアのスイッチを押すだけで開錠し、そのまま自動でスライドドアを開くことが可能だ。
と、ここまで新型の機能を読み込んでも、「eKスペース」だからこその特徴が見えてこない。三菱のここ数年のビジネスは、新興国のマーケットを志向して、海外生産に軸足を置いているのは明らかだ。日産の軽自動車「DAYZ ROOK」とも競合し、ディーラー網などの販売力で劣る三菱としての特段の差別化が必要かもしれない。(編集担当:吉田恒)