エネルギー基本計画 国民の関心高いと菅長官

2013年12月18日 11:14

 菅義偉官房長官は17日開いた第1回原子力関係閣僚会議で茂木敏充経済産業大臣からエネルギー基本計画の検討状況の報告があったのを受け「閣僚会議の議論を踏まえ、基本計画策定に向け調整を進めるよう指示した」ことを語るとともに「政府としてもしっかり検討をすすめることを確認した」と記者会見で語った。

 菅官房長官は「東京電力福島第一原発事故があった後だけに国民の関心も極めて高い」との受けとめを示し、「ありとあらゆるエネルギーについて、関係閣僚が気持ちをひとつにして取り組んでいく」と語った。

 経産省のまとめたエネルギー基本計画素案に対しては、脱原発、即原発を目指す野党議員はじめ国民の間からは脱原発社会からは大きく後退するものだと懸念や批判が相次いでいる。

 そうした中でも「原発を重要なベース電源」と明記している素案の文面に対し、この日の関係閣僚会議では「議論はなかった」と菅官房長官は語った。政府・与党が原発に対し「脱原発」姿勢から、かなり後退した姿勢が浮き彫りになりつつある。

 それでも、菅官房長官は「再生可能エネルギーについてもあらゆる可能性を模索する、そうした中で、最終的には原発をできるだけ少なくするとの施政方針に基づいてのものと思っている」と強調。施政方針と矛盾しないとの認識を示した。

 脱原発を求める野党議員らからは「原発依存度を『可能な限り低減させる』としながら一定割合の確保や新増設の余地を残す」と批判。社民党は「核燃料サイクルを『着実に推進する』と脱原発依存方針を完全に捨てさった」と指摘した。

 共産党の志位和夫委員長は「原発ゼロが消え、新増設を行わないが消え、福島事故に対する反省がまったくない」と批判。

 阿部知子衆議院議員は「総合エネルギー基本問題調査会では事務局素案をほぼ丸呑みする形になった。原発を今後も重要な電源として位置付ける。15人の委員の内、原発ゼロの意見を持つ人は2人で、後は原発回帰なのだから当然の結論とは言え、あまりにも現実をみていない」と批判するとともに「原発は安い、止まれば輸入する化石燃料代が高いと、ひたすら原発回帰を主導する経産官僚や安倍政権は事故の為の国民負担を何と説明するのか」と強く反発している。

 エネルギー基本計画素案をそのまま閣議決定するには、それなりに国民理解を得る修正とともに正確な情報発信が必要で、そうしたことなく素案のままで閣議決定すれば、またしても「大企業優先」、「経済界いいなり政権」との批判が出るのは避けられないもよう。(編集担当:森高龍二)