2012年7月から始まった「再生可能エネルギーの固定買取制度」も、導入から1年が経ち、一般企業の取り組みも積極的になってきた。国内の太陽光発電計画の投資先上位は、全体の40%が北海道、20%を九州が占めており、次いで鹿児島県、福岡県、鳥取県、山口県など、広大な条件の良い用地を確保・運用できる地方が中心となっている。
そのような中、大手住宅メーカーの積水ハウス<1928>も先日、鹿児島県姶良郡湧水町川西において、7,900世帯分の電力を供給可能な発電容量25.8メガワットのメガソーラー発電所「サンシャインエナジー湧水(仮称)」を同社の設計・施工により建設し、新たにメガソーラー事業に参入すると発表した。
これまでの著名な企業の取り組みとしては、ソフトバンク<9984>の「おうち発電プロジェクト」やメガソーラー発電所の建設をはじめ、日本郵便株式会社の郵便局舎等の屋上を利用した太陽光発電事業、また、シャープ<6753>も先日、芙蓉総合リース株式会社<8424>と共同出資して合同会社クリスタル・クリア・ソーラーを立ち上げ、奈良県の「シャープ美吉野(みよしの)太陽光発電所」と北海道の「シャープ苫小牧第一太陽光発電所」の商業運転を今夏から開始している。
折りしも、7月21日に行われた参議院選挙で自民党が圧勝し、ねじれ国会が解消されたばかり。政権が安定したことで、成長戦略の一つとして、今後ますます再生可能エネルギー投資が加速されることが予測される。経済産業省も再生エネルギーへの投資の主力は資金力の豊富な大企業であり、大型案件を競い合うように開発することは歓迎すべきこととみている。
積水ハウスは、本業において環境配慮住宅「グリーンファースト」を積極的に推進しており、昨年は新築住宅や既築住宅21,305棟に合計86.2MWの太陽光発電システムを設置し、全国の工場にもメガソーラーを設置するなど、再生可能エネルギーの推進に積極的だ。このような企業があえて、土地取得も含む投資案件として、事業参入を行うことは、メガソーラー事業の広がりに期待を感じさせる。
自社の遊休地活用や環境イメージ戦略として、クリーンエネルギーであるメガソーラーに参入する企業も多かったが、積水ハウスのように本業での取り組みに加えて、投資案件として新規参入する企業も増えてくることだろう。
太陽光発電がことさら珍しいものではなく、普通の電力として考えられる日は、もうそこまで来ているのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)