日産自が電気商用車「e-NV200」のテストカー栃木県に貸与

2012年09月05日 11:00

 日産自動車が、栃木県が行う農村地域での電気自動車活用における実証運行のため、多目的商用バン「NV200」をベースとした100%電気商用車「e-NV200」のテストカー1台を、栃木県に貸与すると発表。農村地域の直売所で販売する農作物の集荷等に電気自動車を利用し、利便性・経済性・環境性等を検証する。

 農村地域では、小水力発電、太陽光発電、バイオマス発電等の再生可能エネルギー活用の可能性が高く、栃木県では、それらを農業用施設等に活用する「電力の地産地消」を目指しており、今回の実証運行はその取組みの一環となる。更に、農村では、停電時においても電力供給が欠かせない施設・作業(ビニールハウスの暖房・搾乳等)が多く、栃木県では、今年度中に、電気自動車の蓄電機能を活用した電力供給実証を行う予定だという。

 今回の実証運行では、過疎化・高齢化に加えて、ガソリンスタンドの撤退も進んでいる農村地域において、充電作業が自宅でできる電気自動車の利便性や、排出ガスがゼロという特性を活かした出荷業務の環境への負荷低減効果等を検証。具体的には、農作物直売所への個別配送(農家約20軒からの出荷物)を、ミルクラン方式(巡回集荷)に変更し、集荷用車両として「e-NV200」テストカーを利用する。

 100%電気商用車「e-NV200」については、2012年に入って以降、日本においてイオンリテール及びフェデラル エクスプレスと、また欧州ではブリティッシュガスなどと実施しているが、地方自治体への車両の貸与は初めてとなる。なかなか本格普及をみせないため、こうした地道な実証実験で徐々に普及を図るしかない電気自動車。実証実験により有用性が確認されたところで、実施の市場で本格利用が進むのかにも疑問が残るところではないだろうか。