多様性を見せる、太陽光発電周辺市場とは

2012年08月20日 11:00

 スマートハウスやメガソーラー発電所の建設ラッシュなどで注目を集める太陽光発電。その発電規模や効果にばかり話題が集まっているが、市場の拡大に合せてその周辺でも様々な商品・サービスが広がりを見せており、次々と市場に投入されている。

 シャープは、家庭などのコンセントからの充電に加え、ポータブル蓄電池として業界で初めて住宅用太陽光発電システムからの充電もできるリチウムイオン蓄電池を発売すると発表。本機の電源プラグを住宅用太陽光発電システムの自立運転コンセントに差し込み、住宅用太陽光発電システムを自立運転モードに切り替えることで、停電などが続いても夜間の電力利用が可能となる。

 NTTスマイルエナジーは、8月1日より太陽光発電の全量買取制度向けの新ソリューションを提供開始している。全量買取制度の適用を受けるためには、導入設備が初期に期待される性能を安定的に維持できるようなメンテナンス体制が確保されていることが必要となる。これに対して、同社の提供するクラウドを活用した新しい形の太陽光発電システムモニタサービスでは、遠隔から発電状況をモニタリングすることが可能なため、一般家庭以外の施設や遊休地に太陽光発電システムを設置する場合に必要なメンテナンス体制の確保を容易にすることができるとのこと。また、発電量の見守りサービスにより発電量の低下等、太陽光発電システムの異常を早期に発見できるため、投資回収遅れのリスクを軽減するという。

 りそなグループのりそな銀行・埼玉りそな銀行・近畿大阪銀行は、東京海上日動火災保険の「住宅ローン専用火災保険(愛称:あんしんフルカバー)」の取扱いを開始すると発表。本商品は、基本的な火災保険の機能に加えて、「建物に付属した機械設備の電気的・機械的事故」に備える特約を付加できるもの。床暖房(ビルトインタイプ)や太陽光発電設備、電気給湯器や家庭用燃料電池など、スマートハウスをはじめとした現代の住宅環境では身近にありながら、多くの火災保険で補償対象外であり、かつ修理費用が高額になりがちな設備の故障リスクに備えることができる特約となっている。

 その他、LIXILが、垂直積雪量100cm未満の地域にも対応可能な、業界初の住宅用地上設置型太陽光発電システムの発売を発表するなど、細かなニーズに合わせた商品展開が進んできており、太陽光発電関連市場は成熟期に向かいつつあるようである。現在、研究・開発の進んでいる有機太陽電池が実用化されれば、この傾向はさらに強まるであろう。他国企業に影響されず、国内で安定した市場となるためにも、一日も早く成熟を迎えられることを期待したい。