市場拡大が進むデジタルヘルス市場は続々と他業種から参入

2012年08月14日 11:00

 健康管理・医療機器のIT化が進み、拡大するデジタルヘルス市場。様々な企業が参入し、今後最も成長する市場の一つとして期待を集めている。

 8月7日にはソニーが、手術用顕微鏡に装着して、顕微鏡を覗く術者と同様のリアルな立体映像を撮影可能な、3D-HDビデオカメラ「mcc-3000MT」の発売を発表。1/2型フルHD 3CMOSイメージセンサーを搭載しており、左右セパレートタイプのコンパクトなカメラユニット2台と1台のコントロールユニットで構成されている。放送・業務用の3Dカメラで培った技術ノウハウを用い、3D撮影の際に発生する左右のカメラの色ずれやホワイトバランスなど、従来困難であった精密な調整を、一台のコントロールユニットで簡単に調整できるため、医療用に最適な高精細で精度の高い奥行き情報を得ることが可能なものとなっている。

 また、NTTドコモとオムロンヘルスケアが、両社の経営資源を活用し、健康支援サービスの企画・開発・提供を行うドコモ・ヘルスケア設立。スマートフォンとオムロンヘルスケアの健康機器(体重体組成計・血圧計・睡眠計等)を連携させることで、機器で測定した健康データ(体重・体脂肪率・睡眠時間等)を、簡易にクラウド上に蓄積・管理できる環境を整える。また、健康関連コンテンツを保有する企業やコンテンツプロバイダーと連携を図り、ライフステージやライフスタイルにあった幅広いサービスの展開を図るという。

 さらに大塚製薬も、米国のプロテウス・デジタル・ヘルス社と、新しいカテゴリーの医薬品の開発・商業化に向けて、同社技術のグローバルなライセンス契約を締結したと発表。プロテウス・デジタル・ヘルス社は、体に貼り付けるパッチと摂取可能なチップを組み合わせたセンサー技術を利用し、健康習慣の改善につながるよう設計された、情報のフィードバック・システムを開発。薬を飲んだ時間、活動・睡眠状況などの情報がセンサーで受け取られ、データベースへと送られる。携帯電話など様々な端末からデータベースに蓄積された情報にアクセスすることで、患者本人や介護者による体調管理や、医師による効果的な治療の提供に役立つものと期待される。

 その他、セイコーエプソンが医療・健康分野に参入する方針を表明するなど、市場の潜在能力に目を付けた企業が様々な独自の強みを活かしながら研究・開発・商品展開を実施している。この市場がどこまで成長するのか、期待が高まるところであろう。