6月に入って、保険会社大手の第一生命保険が5000億円という大規模な額によりアメリカの生命保険会社を買収する方向で調整に入っているとの報道がなされていたが、4日、同社により買収手続き開始が合意されたとの正式な発表が行われた
6月に入って、保険会社大手の第一生命保険<8750>が5000億円という大規模な額によりアメリカの生命保険会社を買収する方向で調整に入っているとの報道がなされていたが、4日、同社により買収手続き開始が合意されたとの正式な発表が行われた。
買収を行うのはアメリカの中堅生命保険会社プロテクティブ生命で、買収総額は57億800万ドル(約5822億円)であり、それは国内の保険会社による海外企業の買収金額としては過去最大規模のものである。2014年12月から15年1月ごろまでに手続きを完了させ、完全子会社とする予定。
今回の買収によって、プロテクティブ生命の分と単純合算した保険料収入は約4兆6500億円となり、これは国内最大手である日本生命保険のそれとほぼ同規模である。国内の保険会社による海外企業の買収としては過去最大規模となった今回の買収だが、第一生命保険は必要となる資金を公募増資により確保するため、2500億円を上限とする新株発行の登録枠を設定した。
国内の人口が減少するなか、現在生命保険の市場は縮小傾向にある。そうした状況下において第一生命保険は世界最大の市場規模を誇るアメリカに進出することにより、その収益を拡大したい考えだ。また今回の買収をきっかけに、ほかの国内の生命保険会社の世界進出を促すのではないかともいわれている。
今回、第一生命保険が買収するプロテクティブ生命は、アメリカ南部のアラバマ州に本社がある中堅の生命保険会社で、アメリカ全域に渡って終身や年金などの保険商品を取り扱っている。13年12月期決算の売上高に相当する保険料収入は約30億ドル(約3000億円)で、第一生命保険の保険料収入と単純合算した金額は約4兆6500億円となり、国内トップとほぼ並ぶ。
第一生命保険はこれまでにも、ベトナムやタイ、そしてオーストラリア、インド、インドネシアなどアジアを中心に収益源拡大のため買収・出資を行っている。国内の生命保険市場が縮小し続けているなか、国内の保険会社が海外に収益源を求める動きは今後ますます活発になりそうだ。(編集担当:滝川幸平)