日本郵政とアフラック提携 生保は静観

2013年08月04日 16:51

 日本郵政西室泰三社長と米保険大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)のダニエル・エイモス最高責任者(CEO)は、7月26日都内で会見し、両者の業務提携を拡大することを明らかにした。

 これは、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の事前交渉で、米国が日本郵政傘下のかんぽ生命保険の、事業拡大に反対しているとの思惑を考慮、政府は全額出資している日本郵政を通じて、一定の配慮を示す狙いがあるものと見られている。

 アフラックのがん保険を取り扱う郵便局を、現在の1000ヶ所から今年度中に1500ヶ所、最終的に、全国2万ヶ所に順次拡大するとしている。

 また日本郵政が独占的に扱える専用の、がん保険の開発検討なども行うとしている。日本郵政傘下のかんぽ生命保険と、米医療保険の最王手アフラックの提携強化について、かんぽ生命の新規事業参入を「民業圧迫」と批判してきた、生命保険業界は、静観の構えを見せている。

 これは日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加と言う国益が絡む上、日本郵政が今後、全国の郵便局の販売窓口を生保各社に本格展開すれば、商機が見込めると予想されるからだ。

 かんぽ生命の新規事業を巡っては、政府が、日本郵政株を100%保有することもあり、生保業界は、政府保証がある限り、公平な競争環境は保証されないなどと反発している状況と言えよう。

 今回の提携についても主力商品のがん保険の販売で、形勢不利を強いられるとの見方が生保業界では支配的。平成20年にかんぽ生命と提携し、がん保険の共同開発を進めていた日本生命保険は、かんぽ生命の心変わりに、不快感を隠せない状況と言えよう。

 しかし、今回の提携については生保業界としての、表立った批判は出ていないのは確か。これは今回の発表がTPP交渉参加のタイミングだったことで、日米交渉に水をさしてはならないとの考えもあり、そうした空気を読んだ提携発表とも受け取れる。(編集担当:犬藤直也)