再生可能エネルギーの導入が強く求められる今日、各自治体や企業などはエネルギーの安定供給の確立と、地域単位での熱・電気エネルギーの効率化を図るスマートコミュニティの構築を目指している。今回、東京ガス<9531>が実証実験で電力削減の大きな成果を上げた。
東京ガスは10日、「横浜スマートシティプロジェクト」の一環として実施している「集合住宅版スマートハウス実証試験」において、2013年度の電力ピーク時の受電電力についてディマンドリスポンス(DR)(電気料金価格の設定またはインセンティブの支払に応じて需要家側が電力の使用を抑制するよう電力消費パターンを変化させること)により、夏季58%、冬季49%の削減を達成したと発表した。
この実証試験では、東京ガス磯子スマートハウスにおいて、12年度から一次エネルギーを削減する3つの取り組みを実施していたが、13年度からは4つ目の取り組みとして、ディマンドリスポンスによる節電効果の検証を行った。
場所は、東京ガスの社宅として神奈川県横浜市磯子区に建設した地下1階・地上4階建ての集合住宅(24戸)。ここでは、12年4月から一次エネルギーを削減する取り組みを行い、省エネルギー化を目指している。12年度は住棟全体の省エネを評価し、13年度は家庭用エネルギー管理システム導入による各戸の省エネ効果の評価および電力ピーク時のディマンドリスポンスによる節電効果についても検証している。
具体的には、夏季(7~9月)および冬季(1月)の電力ピーク時(夏季:13~16時、冬季:17~20時)で「地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS)」からのディマンドリスポンス発令を受けた際に、家庭用燃料電池「エネファーム」の発電量が最大となるような制御を行った。この「統合制御システム」によって住棟全体の電力・熱の需要と供給を制御するとともに、「家庭用エネルギー管理システム(HEMS)」を用いて各戸に節電要請を行った。
主な設備は、約25kWの太陽光パネル、太陽熱利用ガス温水システム「SOLAMO(ソラモ)」の屋上設置型が約10m2、バルコニー一体型が1台(約3m2)。家庭用燃料電池「エネファーム」が10台(4住戸に2台)、40kWhの蓄電池が1台である。この結果、電力ピーク時のディマンドリスポンスによる節電効果として、夏季58%、冬季49%の削減を達成した。(編集担当:慶尾六郎)