2014年5月度の全国企業倒産は、件数(負債額1000万円以上)が834件、負債総額は1726億4100万円だった。株式会社東京商工リサーチは9日、「全国企業倒産状況」の2014年5月度の結果を発表した。
それによると、倒産件数は前年同月比20.1%減。4月が18カ月ぶりに前年同月を上回り推移が注目されたが、5月度としては1991年(891件)以来23年ぶりに900件を割り込む低水準にとどまった。
負債総額は同0.3%減で、4カ月連続で前年同月を下回った。防虫剤・防臭剤他製造販売の白元(東京・負債254億9400万円)が民事再生法を申請し、負債100億円以上の大型倒産が4カ月ぶりに発生したが、依然として負債1億円未満の倒産が595件(構成比71.3%)と小規模倒産が7割を占めた。
産業別倒産件数は、10産業のうち農・林・漁・鉱業と情報通信業を除く8産業で前年同月を下回った。農・林・漁・鉱業は10件(前年同月比100.0%増)、情報通信業が37件(同2.7%増)だった。一方、消費税率引き上げの影響が懸念される小売業は118件(同10.6%減)で前年同月を下回ったが、業種別では婦人・子供服小売(11→15件)、書籍・文房具小売(3→16件)などで増加が目立ち、今後の個人消費関連の動向が注目されるとした。
建設業は169件(前年同月比32.6%減)で27カ月連続減少し、製造業は131件(同14.3%減)で10カ月連続減少した。不動産業も20件(同41.1%減)で4カ月ぶりに前年同月を下回り、サービス業他は184件(同14.0%減)で、3カ月ぶりに減少、卸売業は125件(同22.3%減)で2カ月ぶりに減少した。燃料価格が高止まりする運輸業は36件(同29.4%減)で前年同月を下回った。
地区別倒産件数は、9地区のうち四国を除く8地区で前年同月を下回った。唯一増加した四国は18件(前年同月比28.5%増)で13カ月ぶりに増加に転じた。産業別では、建設業(4→5件)、製造業(ゼロ→3件)で増加した。一方、震災の直接被災地である東北は25件(前年同月比7.4%減)で2カ月ぶりに減少したが、県別では岩手、秋田、山形で前年同月を上回った。中国38件(同2.5%減)は4カ月連続で前年同月を下回り、中部108件(同18.1%減)は3カ月連続で減少した。
このほか関東が334件(同22.1%減)、近畿201件(同23.8%減)、九州63件(同19.2%減)、北陸28件(同9.6%減)、北海道19件(同38.7%減)で、それぞれ減少に転じた。産業別でみると、建設業では北海道、北陸、中国、四国を除き前年同月を下回り、特に関東(90→51件)、近畿(71→39件)で減少が目立った。
状況はおおむね良好に進んでいるようだ。しかし、もちろん不安材料はある。消費税率引き上げの影響が懸念されるのは小売業だ。今回も倒産数は増加傾向にある。影響が本格的に出てくるのはこれからであるため、気になるところだ。(編集担当:慶尾六郎)