株式会社東京商工リサーチは2日、2014年5月の「東日本大震災」関連倒産統計を発表した。今回は12件(速報値:5月30日現在)で、25カ月連続で前年同月を下回った。震災から3年を経て震災関連倒産は、収束傾向をたどっているようだ。
ただし、累計では1445件(5月30日現在)に達した。また倒産のほか、事業停止や法的手続準備中の「実質破綻」が21件あり、これを含めた震災関連の経営破綻(倒産+実質破綻)は累計1466件になった。
地区別は、関東8件、東北3件、北陸1件で、このうち、東北は宮城の3件だった。「震災関連」倒産の累計1445件を都道府県別にみると、最多は東京の429件(5月4件)。次いで、宮城107件、北海道81件、神奈川と福岡が各62件、千葉57件、岩手と群馬が各50件、茨城47件、大阪43件、静岡41件、福島38件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は262件(構成比18.1%)だった。
また、倒産の累計1445件を産業別にみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の368件(5月5件)。次いで、製造業が342件(同2件)、卸売業が261件(同2件)、建設業が186件(同ゼロ件)、小売業が132件(同ゼロ件)と続く。
被害型で分類すると、「間接型」1330件(構成比92.0%)に対し、「直接型」は115件(同7.9%)だった。5月は「直接型」が3件だった。
5月の倒産事例を見てみる。千葉県のハンドバッグ販売の「チュチュコーポレーション株式会社」は、主に革製婦人用バッグを中国やベトナムで委託生産していた。しかし、東日本大震災により一部店舗に水漏れ被害が生じて休業を強いられた。その後は業績が低下を続け、3つの店舗を閉鎖し、経営の合理化を図っていたが売上を回復することができず破産を申請した。
また、宮城県の貨物自動車運送の「有限会社福和運輸」は、同業他社との競争から厳しい経営だったところに、東日本大震災で営業車両4台を流失する被害を受け、資金繰りが悪化した。業容を縮小して営業を続けてきたが、抜本的な経営改善に至らず破産を申請した。
同じく宮城県の電子機械部品製造の「株式会社佐藤螺子」は、東日本大震災で工場が被災し、一時的に営業が中断したことで赤字経営に陥った。その後、復旧したものの受注単価の厳しい状況もあって資金繰りが苦しく、破産手続きに踏み切ったという。
震災から3年がたった。震災関連倒産は、発生ペースは鈍化をみせている。しかし、いまだに震災の影響を引きずる企業があって、やはり傷あとは「大きい。(編集担当:慶尾六郎)