三菱レイヨンとダイセルが、たばこフィルター用のアセテート・トウを製造する合弁会社の設立に関し、確定契約の締結をしたと発表。2012年10月1日付けで三菱レイヨン社の富山事業所内で展開するアセテート・トウ製造事業を100%子会社として分社化し、新会社の株式の35%をダイセル社に譲渡することで新会社を合弁会社化する。
今回の合弁会社設立により、三菱レイヨンは、アセテート・トウについての事業の安定化を図るだけでなく、地球環境に優しくファッション性の高いアセテート・フィラメントでも市場の拡大と深耕により収益向上を図る。一方のダイセル社にとってたばこフィルター用アセテート・トウ事業はコア事業のひとつ。世界のアセテート・トウ需要の拡大を背景に、同事業の強化に取り組んでおり、今回の合弁会社設立はその一環となる。また既存の事業場におけるアセテート・トウ製造設備の増強も2013年7月商業運転開始を目標に進めており、さらには中国における合弁会社の同製品の増強も実施していくという。
JTのデータによると、健康志向などを背景に、国内における紙巻きたばこの総販売数量は2006年度に2700億本であったものが、2011年度には1975億本と市場が急激に縮小している。しかし一方で世界のたばこ需要は、アジア、アフリカ、東欧などの新興国を中心に伸張しているという。他の産業と違わず海外シフトの進む煙草関連市場の中で、日本企業はいかにして生き残っていくのか、注目に値するのではないだろうか。