矢野経済研究所によると、2010年度は前年比100.1%の2兆2860億円と横ばいで、成熟感のある国内の化粧品市場。そんな国内化粧品市場で近時、利便性や節約志向、仕事や育児などの理由により、あらゆる機能を1つで備えた化粧品が注目を浴びているようである。
今年3月、クラシエホームプロダクツが基礎化粧品ブランド「肌美精」の「大人のニキビ」シリーズから、「肌美精 大人のニキビ 薬用美白クリーム」発売開始。大人のニキビに悩む人特有の肌状態が、肌を守るバリア機能の低下により水分量が足りない「乾燥」状態にあることに着目し、「ニキビ予防」、「ニキビ跡ケア」、「美白」、「うるおい」の4つの機能を備えた仕上げクリームとなっている。
4月には山田養蜂場が、完熟蜂蜜とローズの基礎化粧品「ハニーラボ スキンケアシリーズ」から、化粧水・美容液・乳液の役割を併せ持つオールインワンゲル「ハニーラボ ふんわりモイストゲル」を発売。2010から2011年の2年間で、スキンケア部門に寄せられる意見要望の中で、「オールインワンゲルを作って欲しい」という内容が1位になったことから開発された商品で、コメヌカから抽出される成分であるライスブランソースや3種類の植物由来オイル(スクワラン・ホホバ種子油・アンズ油)も配合されている。
また5月にもドクターシーラボから、シーラボ史上最高レベルの紫外線ブロック効果SPF50+ PA+++で絶対に焼かないBBクリーム「BBパーフェクトクリーム 50+」を新発売。この商品は、1本でクリーム・美容液・日焼け止め・化粧下地・ファンデーション・コンシーラーといった6つの機能を兼ね備えた多機能クリームファンデーションとなっており、紫外線の影響から肌を守るだけでなく、肌の再生促進・保湿効果などもあり、使い続けることによってさらに美しい素肌に導く、スキンケア効果の高いBBクリームだという。
横ばいする国内化粧品市場の中で、1つのスキンケアで複数の効果や効能を訴求するゲルタイプのスキンケア化粧品は、富士経済によると、2010年見込みで前年比116.4%の256億円、2011年予測で前年比111.3%の285億円と拡大傾向にある。毎月のように新製品が発売され、この傾向はしばらく続きそうな様子である。成熟感があり、爆発的な市場拡大の見込みが薄いとされる市場の中で、どこまで市場を拡大していけるのか。一度利用すれば、その簡易さから手放せない。そういう需要を取り込んで、堅調に推移していくのだろうか。