広島市の大規模土砂災害で安倍晋三総理が「政府の総力をあげ、被災者の救命・救助などに全力で取り組む」よう指示出ししたあと、森喜朗元総理や総理補佐官、経済産業大臣、官房副長官らとゴルフを始めた20日の初期対応に批判があがっているが、危機管理意識に問題があるとの指摘はそれだけではなかった。
安倍総理は被害拡大の報告を受け、ゴルフのプレーを取りやめ、急きょ官邸に戻り、「聞き取りや一連の指示を終えると、その日の夜(20日夜)、静養先の山梨県の別荘に戻っていた」という。
野田佳彦前総理が自身の「かわら版」で指摘した。野田前総理によると「安倍総理は官邸に戻り、報告の聞き取りや一連の指示を終えると、その日の夜には静養先の山梨県の別荘に戻りました。これまた信じられません」とあきれた様子。
野田前総理は「2次災害の危険もある中、多くの人が救命・救急の対応をしている時に…」と指摘するとともに「天皇、皇后両陛下は大きな被害が出ていることを受け、予定されていた軽井沢での静養を取りやめられました」と総理の危機管理意識の感覚を批判した。
野田前総理は、総理が被害の報を受け、20日午前6時30分に指示をだし、自らは山梨県富士河口湖町のゴルフ場で経産大臣や官房副長官らとプレーを始めた行動について「被害の大きさがわかって速やかに上京したのだから、適切な対応をしたと総理を弁護する人もいるが、いったんはゴルフを始めたのであり、明らかにリスクに対する感度が鈍かったといわざるをえません」と批判した。
また野田前総理は「危機には起こるであろう危機(リスク)と現実のものとなった危機(クライシス)があり、それぞれきちんと管理しなければならない」と指摘。
野田前総理は「森喜朗元総理も一緒にプレーしたそうですが、森元総理といえば2001年の『えひめ丸』事故を思い出します」とし「愛媛県立宇和島水産高校の漁業実習船が米海軍原子力潜水艦に衝突され、沈没した事故発生時、元総理は友人とゴルフのプレー中でした。詳細がわかるまでプレーを続け、結局ハーフで中止して官邸に戻ったのですが、厳しい批判にさらされ政権の命脈が断たれる契機になった。森元総理の場合は現実のものとなった危機、すなわちクライシス・マネジメントに問題があったといえるでしょう。森元総理は9ホールもプレーし、安倍総理は4ホールで止めたからまだマシという話では済まない」とした。(編集担当:森高龍二)