指示出し直後、ゴルフ場に足向けた総理

2014年08月23日 10:25

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広島市の土砂災害では消防庁の22日午後2時現在でのまとめで、39人の死亡が確認され、51人人が行方不明になっている。臨時国会で、総理のこの対応は問題になりそうだ。

 早急に被害状況を把握するとともに、政府の総力を挙げて、被災者の救命・救助等の災害応急対策に全力で取り組むこと。

安倍晋三総理が広島の土砂災害発生報告を受けた直後に出した指示。安倍総理は同時に「関係省庁が緊密に連携し、住民の避難支援等に万全を期すこと」「引き続き、国民に対し、大雨等に関する情報提供を的確に行うとともに、被害の拡大防止の措置を徹底すること」を指示した。

 指示出しは20日午前6時半。総理が報告を受けた15分後のことだ。この時、すでに広島市内では記録的大雨のため複数個所で土砂崩れが発生し、5人が行方不明になっていると報じられていた。

 しかし、総理は指示出し直後に山梨県富士河口湖町のゴルフ場でプレーしていたと共産党機関紙が報じた。それによると「首相が山梨県鳴沢村の別荘を離れたのは午前7時22分。4分後にはゴルフ場入り。プレーを中断し、ゴルフ場を出たのは9時20分ごろ。その後、公用車で緊急帰京。この間、約2時間ゴルフ場にいたことになる」と対応を批判している。

 総理は、最初の指示から4時間43分後の11時13分に「政府一体となって、徹底した被災者の救命・救助等の災害応急対策に取り組むこと」「被災者の救命・救助活動にあたる自衛隊の体制を数百人規模までに増強すること」「古屋大臣を筆頭とした政府調査団を環境が整い次第早急に派遣すること」を追加指示している。

 事態の深刻さを認識したからだが、それ以前に「政府の総力を挙げて、被災者の救命・救助等の災害応急対策に全力で取り組む」よう指示した政府最高指揮者が即座に帰京せず、ゴルフ場に足を向けた感覚は「国民の生命、安全を守る責務が総理のわたしにはある」と安全保障では記者会見で、国会答弁で、街頭演説で常に強調してきたのに「大きな疑問符」がつく。

 ゴルフ場で安倍総理は森喜朗元総理、萩生田光一自民党総裁特別補佐、日枝久フジテレビ会長らとプレーしたとされている。総理自ら指示を出さなければならない甚大な被害が危惧される中で、元総理や総理特別補佐、さらに民間とはいえ報道機関トップが、なぜ、直ぐに帰京するよう総理に求めなかったのか、それぞれの経験や置かれたポストからみて不思議でならない。

 広島県庁に政府現地災害対策室が設置されたのは最初の総理の指示出しから7時間10分経過してのことだった。臨時国会で、総理のこの対応は問題になりそうだ。指示出し直後にゴルフ場に足を向けた総理のその時の状況認識、判断はどうだったのか。広島市の土砂災害より、森元総理の顔が頭をよぎったのか。安倍総理にとって「国民の命と安全」は日米同盟での外交戦略上のことのみを指す言葉なのか。国会で明らかにしてほしい。

 広島市の土砂災害では消防庁の22日午後2時現在でのまとめで、39人の死亡が確認され、51人人が行方不明になっている。指示出し直後、ゴルフ場に足を向けた総理の初期対応を遺族や被災家族はどのように受け止めるのだろう。(編集担当:森高龍二)