日本は、太陽光発電所の設置済容量が14GWを超えており、政府により2020年までに28GW達成を掲げる世界最大の太陽光発電市場のひとつである。とくにこのところ、様々な企業や団体による建設や建設計画が相次いでおり、「メガソーラーラッシュ」といえる状況だ。
そして今回もまた、34MWのメガソーラー建設計画が発表された。スイスEtrion Corporationと株式会社日立ハイテクノロジーズは2日、三井住友信託銀行株式会社とプロジェクトファイナンス契約を締結し、日本国内において出力34MWの大規模太陽光発電(メガソーラー)の共同事業を開始すると発表した。
2012年にEtrion社と日立ハイテクは、日本における太陽光発電共同事業の立ち上げについて開発協定を結んだ。同協定の締結に続き、両社は日本での太陽光発電プロジェクトの開発・建設・運営に向けて、太陽光発電所の建設・運営に必要な許認可の取得、地域社会および用地所有者との関係構築、EPC関連サービスの提供、O&Mおよび資産管理関連サービスの提供など、共同で立ち上げを推進してきた。今回の「雫石プロジェクト」と「水戸プロジェクト」はこの協定下で建設される最初の太陽光発電プロジェクトで、両社は2015年までに、建設中または着工準備完了のものも含めて合計出力100MW達成を目標としている。
「雫石プロジェクト」では、24.7MWの太陽光発電所を、岩手県雫石町に建設。2014年10月に建設関連作業開始の見込みで、2016年末までに操業開始の見込み。51ヘクタールの借地に建設され、東北電力<9506>に連系する。このプロジェクトでは、東北電力40円/kWhの売電契約(Power Purchase Agreement : PPA)の締結を予定しており、運用開始後の年間発電量は、約25.6 GWhとなる見込みだ。
「水戸プロジェクト」では、9.3MWの太陽光発電所を、茨城県水戸市に建設。2014年9月に建設開始の予定で、2015年末までに操業開始の見込み。27ヘクタールの借地に建設され、東京電力<9501>の電力系統に連系する。このプロジェクトでは、東京電力と40円/kWhのPPAの締結を予定しており、運用開始後の年間発電量は、約10.3 GWhとなる見込みだ。
両プロジェクトの総事業費用への出資比率は、80%は三井住友信託からのプロジェクトファイナンス(18年償還)で、残り20%は、Etrion:約87%、日立ハイテク:約13%の出資となる。
発電所は、日立製作所<6501>より発電システムの供給を受けて、日立ハイテクが建設する。日立ハイテクは、日立の最高効率98.8%(DC1000V対応)を誇る先進的なパワーコンディショニングシステムと、実際の負荷環境において効率が高く、待機時の電力ロスを従来の同社製品に比べ70%低減できるアモルファス変圧器を組み合わせた効率の高い発電システムを活用し、この共同事業におけるEPCを提供する。運転管理・保守点検については、日立ハイテクがそれぞれのプロジェクトごとに長期固定価格のO&M契約を締結する予定である。(編集担当:慶尾六郎)