電子部品メーカー「京都4社」に4~6月期の大幅増益が続出した理由

2014年08月23日 20:58

画像・国内製品別IT市場予測から読む戦略的IT投資の動向とは

京セラ、日本電産、村田製作所、ロームの電子部品メーカー「京都4社」の4~6月期決算は、京セラ以外は大幅増益が並び、業績はトータルで好調だった

■日本電産は通期業績・配当見通しを上方修正

 京セラ<6971>、日本電産<6594>、村田製作所<6981>、ローム<6963>の電子部品メーカー「京都4社」の4~6月期決算は、京セラ以外は大幅増益が並び、業績はトータルで好調だった。

 京セラは売上高こそ0.9%増の3347億円だったが、営業利益は26.0%減の187億円、最終利益は14.1%減の194億円の減益決算。それでも売上高が9.2%増の1兆5800億円、営業利益が12.0%増の1350億円、最終利益が9.3%増の970億円の通期業績見通し、80円の年間配当予想は据え置いている。四半期の減益要因は前年同期の収益を大きく押し上げたメガソーラー向けの機器の売り上げがなかったためで、スマホ用電子部品の販売は引き続き好調だった。

 日本電産は売上高が13.7%増の2401億円、営業利益が41.6%増の255億円、最終利益が34.2%増の179億円の2ケタ増収増益決算。売上高は四半期ベースでは最高。通期業績見通しの売上高を100億円上方修正して9600億円(前年同期比9.7%増)、営業利益を50億円上方修正して1050億円(23.4%増)、最終利益を40億円上方修正して690億円(22.3%増)とし、年間配当予想を5円増配して60円とした。想定為替レートよりも円安が進み、為替差益が売上高で約74億円、営業利益で約14億円寄与したという。

 村田製作所は売上高が13.2%増の2179億円、営業利益が47.9%増の368億円、最終利益が54.0%増の269億円の2ケタ増収増益決算。売上高が8.7%増の9200億円、営業利益が14.4%増の1440億円、最終利益が9.5%増の1020億円の通期業績見通し、160円の年間配当予想は据え置いている。大幅増益の要因は主力のセラミックコンデンサなどスマホ向け電子部品販売が大きく伸びたことだった。

 ロームは売上高が10.5%増の884.1億円、営業利益が399.0%(約5倍)増の92.7億円、最終利益が0.2%減の67.6億円で大幅営業増益。売上高が3.9%増の3440億円、営業利益が7.9%増の255億円、最終利益が34.6%減の210億円の通期業績見通し、60円の年間配当予想は据え置いている。自動車、家電向けの電子部品販売の好調さに半導体も加わったこと、生産拠点の一部を閉鎖してコスト削減が進んだことで、それらが営業利益を前年同期比約5倍まで押し上げた。もっとも四半期の最終利益は為替要因で減益になり、四半期で16億円の為替差損を計上し、通期も為替差益がなくなり2ケタ減益を見込む。

■スマホ、自動車向け部品供給の「さらに先」を見越した事業戦略

 「京都4社」に限らず現在、電子部品メーカーの好調な業績を支えているのは「スマホと自動車」の市場拡大である。

 スマホについては、アップル、シャープ<6753>、ソニー<6758>とともに世界市場を分けあう韓国のサムスン電子の業績が今年に入って変調をきたし、サムスン向けの部品供給が多かった村田製作所などは影響を受けるかと思われたが、中国メーカーの安価な機種を使う「格安スマホ」が世界的に大きく伸びてカバーしたという。中国メーカー向け販売が伸びたのはロームも同様だった。懸念された低価格製品へのシフトによる利益率の低下も、今のところ起きていない。

 さらに、アップルは今秋に「iPhone6」を発売する予定で、現在はそれに供給する部品の生産がたけなわで各社は夏休み返上で対応している状況だという。7~9月期もスマホ向け部品販売の好調さはなお続きそうだ。

 スマホと並んで活況なのが自動車向けの部品生産。特に日本電産は電動パワステ用などのモーターの売上が大きく伸びた。同社は家電向けも好調で、もともとシェアが高いハードディスク装置向け精密小型モーターとともに収益の三本柱を確立している。ロームも自動車の重要部品トランスミッションに電源を供給する電子部品の販売が好調だった。

 だが、スマホと自動車向けに現状の電子部品を供給しているだけでは、やがて低価格競争に巻き込まれて利益率は悪化していく。もっとも「京都4社」はその「先」をちゃんと見越していて、技術力を活かした高付加価値化や多角化の手を打っている。

 業域が広い京セラには成長性が見込まれるメディカル分野がある。日本電産の強みはM&Aで、今年初めに三菱マテリアル<5711>とホンダ<7267>の子会社を買収し、車載用電子機器や電子制御ユニット(ECU)の分野をグループに加えた。自動車用電装品の総合メーカーを目指しており、センサー技術などと組み合わせれば直近のホットな技術テーマ「自動運転車」にも対応できる。同社の自動車向け分野は2015年度に売上高3000億円、営業利益率11%が目標。村田製作所にはシェアで他社をリードする「通信モジュール」、ロームには省エネの切り札と言われるSiCパワー半導体や神戸大学と共同で量産技術を開発した新型電子部品「圧電MEMS(微小電気機械システム)」の製造受託など、今後の有望分野がある。

 「京都4社」はFA機器のオムロン<6645>とともに「京都系優良企業」として外国人投資家に人気があり外国人保有比率も高い。それは目先で稼いでいる分野に安住せず、常に一歩先の収益源を求めて技術開発やM&Aに積極的に投資する姿勢と、それによる業績の持続性が評価されているのだろう。(編集担当:寺尾淳)