緑茶市場は「中国茶」と「香ばしさ」が今夏のトレンドか

2012年07月17日 11:00

 沖縄・奄美地方で梅雨が明け、本土でも夏本番を迎えるにあたり、昨年来の節電による暑さ・熱中症対策として注目を集める「塩入り」飲料や、一時期ブームとなった炭酸飲料・ゼロ系飲料など、様々なラインナップを揃えてこれに備える飲料メーカー。緑茶飲料に関しても例外ではなく、冷凍用やミネラルの豊富さを謳ったものなど、数多くの夏向け商品が毎年ラインナップするが、今夏はそれらに加え、「中国茶」や「香ばしさ」がトレンドとなっているようである。

 ダイドードリンコは、2008年からシリーズ展開をしている、明治17年創業の広東料理の名店『聘珍樓(ヘイチンロウ)』とコラボレートした「聘珍茶寮(ヘイチンサリョウ) 黄山毛峰(コウザンモウホウ)<中国緑茶>」を2012年夏の新商品として投入。中国十大銘茶のひとつで白蘭に似た香りが特徴の「黄山毛峰(コウザンモウホウ)」の茶葉を100%使用しており、口当たりの軽さ、清々しく甘い香り”清香”を楽しめるという。夏に合った止渇飲料として他社製品との差別化を図り、シェア獲得を狙っている。

 サントリーからも、「サントリー 烏龍涼茶(りゃんちゃ)」を6月26日から発売。低発酵ウーロン茶「奇蘭(きらん)」を中心に茉莉花茶と白茶をブレンドした中国茶で、苦渋みが少なく涼やかな香りが特長だという。パッケージは、香りをより楽しめるように広口ボトル缶を採用し、「涼」をイメージした青色を背景に茶葉や鳥のイラストをあしらうことで上品なデザインに仕上げた、見た目にも夏向けの商品となっている。

 キリンビバレッジは、「生茶」ブランドから、「生茶 香ばし米麹ブレンド茶」を発売。焙煎した大麦、米、とうもろこしでつくったベースに、「焙煎米麹」を加えることで、香ばしさと共に、これまでにはない、ふくよかな甘みが引き出されているという。また、朝摘みした生の新芽のおいしさを活かした生茶葉抽出物を加えることで、後切れのよい味わいとなっている。

 富士経済によると、従来は夏場の需要が高かったティーバックの緑茶が、通年でも需要を見込めるようになり、2010年は前年比106.8%の172億円、2011年は前年比104.1%の179億円と徐々に市場が拡大している。また近年は、紅茶飲料の市場が拡大し、「ご飯に合う」紅茶が大々的に売り出されるなど、茶系飲料の市場にとっては追い風の状況と言える。こうした中で、どういった商品が市場の維持・拡大に寄与するのか。各社の試行錯誤が暫くは続くのではないだろうか。