矢野経済研究所の調査によると、2011年は前年比93.4%の2418億7000万円と、震災の影響もあってマイナスとなったゴルフ用品国内市場。一方、全体的に価格競争が激化している小売市場において値引きが常態化しているゴルフクラブの影響が懸念されるものの、2012年の同市場は前年比102.7%と5年ぶりのプラス成長が予測されている。こうした中、帝国データバンクが発表している11月以降の大型倒産速報によると、負債額30億円以上の倒産企業の内、ゴルフ場関連企業が7社と、他の業界に比べて多くみられた。
11月2日、パシフィックホールディングスの子会社であるパシフィックスポーツアンドリゾーツが340億円の負債を抱えて特別清算開始決定を受けている。同社はゴルフ場を中心とした投資事業を開始する為に設立。再生案件のゴルフ場を次々と買収し、8コースを傘下に置いていた。同日には、1992年に米国の名門ゴルフ場運営会社であるぺブルビーチ社を買収したことで高い知名度を得た太平洋クラブも、更生手続き開始決定を受けている。さらに、パシフィックスポーツアンドリゾーツと同様、パシフィックホールディングスグループのピーエスアール相武が負債額140億円で特別清算開始決定を受けている。
また、11月21日には大村湾カントリー倶楽部が、27日には太閤山カントリークラブを経営する太閤山観光が、それぞれ78億円、157億9000万円の負債で民事再生法の適用を申請。12月に入ってからも、大山開発が負債101億円で破産手続き開始決定を受けている。
90年代後半から徐々に増え始め、2002年には70件を超えたゴルフ場の倒産。これによりバブル期に向けて過剰となった企業数の淘汰が進み、倒産件数も一時期は減少傾向にあった。しかし、景気低迷に伴い来場客数の減少は止らず、倒産が多発している。先の矢野経済研究所の調査では、成長と予測されているゴルフ用品市場であるが、ゴルフ関連市場自体が回復・成長傾向にあるとは言えないようである。ゴルフ場の倒産は、規模が大きくなりがちなだけに、これ以上倒産数の増加が加速しないことを期待したい。(編集担当:井畑学)