2014年9月に総務省統計局が公表した調査結果によると、2013年の時点で太陽光発電システムを設置している住宅の数は全国で157万戸を突破していたことが分かった。2008年に総務省が行った「住宅・土地統計調査」の結果と比較すると、約3倍の伸びを見せており、5年間で急激に普及が進んだことが分かる。
今や、新築住宅で太陽光発電は珍しいものではなくなりつつあるが、そうは言っても気になるのがコストの問題だ。太陽光発電システムの普及に伴い設置コストも下ってきているとはいうものの、新築設置平均価格は1kWあたり、およそ38万5000円といわれており、この数値をあてはめると、容量4kWの太陽光発電システムを設置する場合、約155万円程度の導入費用がかかるということになる。高額な住宅取得に紛れて安易に考えがちだが、軽自動車1台分と考えると馬鹿にできない。
もちろん、掛かった費用分は日々の電気代の節約分及び余剰電力を売電することで回収することができる。爆発的な普及を後押ししたのは、この再生可能エネルギーの固定価格買取制度であることはいうまでもない。さらに、今年4月の消費税率の引き上げや、10月に入って電気代やガス代が一斉値上げされる中、太陽光発電設備が家計にもたらす恩恵は大きくなっていることは間違いない。
では、初期費用を抑えつつ、太陽光発電設備を導入するにはどうすればいいか。その一つの手段として、工務店ネットワーク「ジャーブネット」(主宰:株式会社アキュラホーム)が興味深いプランを提供している。同社では、12月28日まで開催予定の「エコであたたかフェア」の期間中に販売する太陽光発電住宅「太陽が稼ぐ家-秋」において、10kw未満でも屋根貸し事業によって20年間固定収入が得られる「屋根貸し共同事業プラン」を発売している。
屋根貸し共同事業は、個人などが再生可能エネルギー事業に参加できるよう制定された制度で、発電事業者は複数の住宅の持ち主と屋根の賃借契約を結んで太陽光発電パネルを設置し、各戸で発電した電力を一つにまとめ、10kW以上にして電力会社に固定価格で売電する仕組みだ。しかし、事業者側の初期費用が高いことがネックとなって、中小工務店が実施することは困難だった。しかし今回、ジャーブネットが日本最大級といわれるネットワーク力を発揮し、割安な部資材の供給とノウハウ共有により、工務店組織として初めて実現している。
ジャーブネットの試みが上手くいけば、太陽光発電のハードルが下がる。国内の太陽光発電の普及率にも大きな影響を及ぼしそうだ。(編集担当:藤原伊織)