経済産業省が今年8月に開催した新エネルギー小委員会で太陽光発電協会(JPEA)が発表した集計結果によると、2011年度の時点で約6700億円だった太陽光発電システムの国内市場は大幅に拡大し、2013年度には約2兆5000億円に達したことが分かった。
2兆5000億円という市場規模は国内の白物家電市場に匹敵するもので、太陽光パネルの設置はもちろん、パワーコンディショナーや受変電設備などの設備に加え、住宅関連、工事や設計などの関連事業を含む市場は、2020年に予定されている「省エネ基準適合住宅の義務化」に向けて、今後も成長すると見込まれている。
また、同調査によると太陽光パネルの販売出荷額での海外流出率は一割以下の9.3%に留まっており、2兆円以上が国内で還流したことになっている。また、関連事業に従事した人員も含めると約21万人の雇用を生み出しており、節電面だけでなく、我が国にとって大きな経済効果をもたらしていることが分かる。とくに、住宅関連では固定買取制度や消費税の増税による駆け込み需要などもあいまって、個人住宅向けの伸び率が大きかったようだ。
当然、住宅メーカーなどの企業も太陽光発電は今、最も力を注いでいる商品の一つだ。しかしながら、ただ単にソーラーパネル搭載の住宅というだけではなく、各社それぞれにコンセプトやターゲットの異なる商品の展開を行っているので、住宅購入や導入を考える際には、自分の要望や家庭のライフスタイルに合ったものを選択したいものだ。
例えば、木造住宅の大手メーカーである住友林業では、「グリーンスマート」という太陽光発電システムを標準搭載した商品を展開しているが、木材のもつ素材性能を活かした工夫の数々で、冷暖房機器に頼りすぎない生活を提案している。ソーラーシステムの発電効率は同じでも、使う量が減ればそれだけ節電になるし、売電収入も増えるというわけだ。家電量販店大手のヤマダ電機の連結子会社であるヤマダ・エスバイエルホームも、業界で一、二を争うほど太陽光発電に力を注いでいるメーカーの一つだ。家電量販店傘下の強みを活かし、消費者ニーズに沿ったエコを提案し、話題のHEMSなども積極的に取り入れている。
また、全国の工務店ネットワーク・ジャーブネットを主宰するアキュラホームも、太陽光発電設備の導入について、面白い試みを続けている。10kW以上の太陽光発電を標準搭載した「太陽を活かす家-秋」では、同社の試算によると「全量買取制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)」を活用することで、なんと当初20年間の住宅ローン支払い負担額が実質0円になるという。また、搭載量が10kWに満たない顧客に対しては、顧客同士の電力をまとめて電力会社に売電するシステム「屋根貸し共同事業プラン」を構築し、屋根面積の少ない狭小地や3階建ての住まいでも、全量買取制度の恩恵が得られるプランを提案している。
いずれにしても、太陽光発電搭載住宅選びのポイントは、長期のライフプランにある。目先の買い取り価格だけではなく、長期に渡って住まうことを想定して、長く快適に暮せる住宅を選びたいものだ。(編集担当:藤原伊織)