小渕優子前経済産業相を巡る2世政治家の落とし穴とは

2014年11月10日 09:53

 東京地検特捜部は10月30日、小渕優子前経済産業相の元秘書で群馬県中之条町の折田前町長の自宅や自民党群馬県第五選挙区支部などを捜索した。小渕氏の政治団体が政治資金規正法違反などの疑いがあるとして、市民団体が告発状を東京地検特捜部に提出していたことを受けて、特捜部は任意で折田氏から29日より事情を聞いていた。小渕氏の政治資金問題を報じた週刊誌の記事をもとに始まったのがこの疑惑の発端だ。

 折田氏とは何者か。自民党群馬県第五選挙区支部、小渕優子後援会などの報告書作成などを担当していた小渕氏の元秘書である。小渕氏の父親である小渕恵三元首相にも仕え、30年以上の秘書としての勤続年数を誇る66歳。小渕事務所の「元金庫番」とも言われている。2012年から中之条町長に就任した。

 今回の疑惑をおさらいしてみよう。第一に、観劇会だ。東京・明治座での歌謡ショーの観劇会では、収入より支出が大きく上回った。政治資金収支報告書の記載内容によると、10年と11年の観劇会では、支出が会費収入の4倍以上になっており、差額も約2600万円。もし仮に、この差額を政治団体が負担した場合、有権者への利益供与を禁じた公職選挙法に違反する可能性がある。正当な会費額を有権者が払わないで不足分を事務所が負担したという疑惑だ。

 第二に、親族がデザインしたネクタイやハンカチ、地元名産のネギを購入していたことなどの問題だ。小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」の組織活動費の支出先として、百貨店の子供・玩具売り場、女性用肌着売り場、婦人靴・バッグ売り場や紳士服売り場、装飾品店などが並んでいる。

 独自の調査の結果、参加費を全員から徴収していたこと、12年の分を記載しなかったことを小渕氏は会見で認めた。ただ、ベビー用品や化粧品購入は「出産祝いなどの社交儀礼、海外出張の土産品」と小渕氏は答えている。

 政治資金を努力して集めてきたわけだし、経費の計上先のミスかもしれない。しかし、会場のキャパを満たす1000人もの大人数を集められ(小渕氏の前回の選挙での得票数は134,685票)、会費は1人1万2000円だそうだからお金の余裕があり、時間もあり、同じ趣味・関心・楽しみを持つ支持者が「相当」多いように思えること、そして、折田氏が町長という要職をいとも簡単に辞職したこと、その2つにびっくりするのは筆者だけだろうか。2世政治家は、様々な面で「甘い」ことが落とし穴になっているのだろう。(編集担当:久保田雄城)