昨年の東京モーターショーで世界初公開された、ポルシェにとって5番目のモデル、Macan(マカン)が日本上陸した。
ポルシェ・ジャパンが発表会で見せた2リッター直4ターボエンジンを搭載するエントリーグレードの「マカン」は日本初公開モデル。価格は616.0万円だ。
ポルシェ曰く、「マカンは“ポルシェのDNA”が息づくコンパクトSUVセグメント初のスポーツカー」と宣言するニューモデル。冒頭で記したように、2013年11月にロサンゼルスオートショーで3リッターV6ツインターボを搭載する「マカンS」を、東京モーターショーで3.6リッターV6ツインターボの「マカンターボ」が同時に公開された。さらに、2014年4月の北京モーターショーで、ベーシックな2リッター直列4気筒ターボの「マカン」が発表された。
国内においては今年2月にマカンSとマカンターボ、また、同年4月にマカンの予約注文がそれぞれ開始。価格は、先に述べたがマカン616.0万円、マカンSが719.0万円、マカンターボで997.0万円となる。ポルシェ・ジャパンによると、すでに国内だけで1500台を受注しているという。
今回の発表で、「ポルシェ最新のモデルであるマカンを開発するにあたって、私達が目標としたのは5ドア、5座シート、4WDシステム、そして高いドライビングポジションの、ありふれたコンパクトSUVをつくることではありませんでした」と述べ、「目指したのは、心を高ぶらせるスポーツカーの創造」だと……。すなわち、コンパクトSUVでありながら、ホンモノのスポーツカーを創造したという。
コンパクトとは言え、そのディメンションは全長×全幅×全高4680×1925×1625mm、ホイールベース2805mmと相当に大きい。これをレクサスで最もコンパクトなSUVとされるレクサスRXハイブリッドのスリーサイズ4770×1885×1690mm、ホイールベース2740mmと比較すると分かりやすい。広い全幅と非常に長いホイールベースが、ポルシェ・マカンの特徴だ。
ベーシックな“マカン”が搭載する2リッター直4ターボエンジンでも、237ps(174kW)の出力と350Nmの最大トルクを発生する。レクサスRXハイブリッドのシステム合計で299ps(220kW)であり、モータートルクで圧倒するRXも捨てたモノじゃない。
マカンのジャパン・プレミアのイベントには、ドイツのポルシェ本社からベルンハルト・マイヤー セールス&マーケティング担当役員が来日。世界で年間販売台数130万台規模に成長したコンパクトSUV市場は、今後年率3.5%の拡大が期待されており、ポルシェにとっては新しい顧客を開拓するうえで重要な役割を果たすと述べた。これに対応するために、ポルシェはドイツ・ライプチヒの工場に新しい生産ラインを設けた。欧州では今年7月に新型のデリバリーが開始されているが、その数はすでに3万台を数えたという。
一方、ポルシェ ジャパンによれば、新型マカンの投入により2014年、ポルシェ日本国内で5000台の販売目標の達成を確信しているという。また、2015年はさらなる伸びが見込まれるとも。ポルシェ・ジャパンでは、競合車種として「アウディQ5」や「BMW X3」、「メルセデス・ベンツGLK」などを挙げ、マカンはデザイン、パフォーマンス、カスタマイズ性などで競合車をリードするとともに、このカテゴリーでは唯一の「スポーツカー」であることを強力にアピールした。616.0万円~997.0万円という価格には確かに競争力があり、新規顧客開拓に大きな期待を寄せている。
ポルシェのエントリーモデルとしての役割を担うマカンが、ユーザー層の裾野を広げるのか、今後の経緯を確かめたい。前述したレクサスRXハイブリッド(577.0286~679.8857万円)あたりは、新型ポルシェ・マカンの想定ライバルとはしていないようだが、果たして……日本では。ブランドロイヤリティが勝利するか? ハイブリッド効果がリードするか? 結局のところトヨタとVWの代理レース、世界制覇の材料かな。(編集担当:吉田恒)