最近はSUVなど若さを感じる車が売れているキャデラックブランドだが、21世紀初頭は若年層の顧客離れに悩まされていて若返りに力を入れていた。
若返りのために送りこまれたのは2002年登場の「CTS」というEセグメントセダン。ライバルはBMW「5シリーズ」やメルセデス・ベンツ「Eクラス」等だ。実際、CTSからはこれまでのキャデラックの思想とは違う、世界をターゲットとした思想を感じた。
CTSは、08年に「CTS-V」というハイパフォーマンスグレードを追加した。これにはかなり驚いた。CTS-VにはGMのスーパーカー「コルベットZR-1」に装備されているスーパーチャージャー付きの6.2リッターエンジンと6MTが搭載されていた。キャデラックの若返りは本物に見えた。若干やりすぎにも感じた。
CTSで様々な経験を積んだキャデラックは12年にCセグメントの「ATS」とLセグメントの「XTS」という上下のクラスにそれぞれセダンを追加した。
ATSは使いやすいサイズと、世界的なトレンドである2.0リッターのダウンサイジングターボ等エコ性能、そして得意であるプレミアム性が評価され13年北米カー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた。
そうなってくるとCTS-V同様「ATS-V」の登場にも期待するのが車好きというものである。ATS-Vが作られるとなるとBMW「M3」や「M4」、メルセデス・ベンツ「C63AMG」、レクサス<7203>「RC-F」等がライバルになる。
そしてこの度の14年ロサンゼルスオートショーで詳細が発表された。
ATS-Vに搭載されるエンジンは3.6リッターのV6ツインターボで、最大馬力は450ps以上、最大トルクは600Nm以上を発生する。駆動方式はFR。最高速は299km/h。
トランスミッションはCTS-Vで実績のあるTREMEC「TR6060」6MTと、シボレー「コルベットスティングレー」に採用されたばかりのGM「8L90」8ATを採用。
車体重量はまだ発表されていないが、多くのカーボンパーツの使用やフロント6ピストン、リア4ピストンのブレンボブレーキを見る限り、フェードや制動性能不足は無さそうだ。
Cセグメントのプレミアムスポーツは長いことドイツ車の独壇場だったが、レクサス「IS-F」や「RC-F」等の日本車、そして今回からアメリカ車が加わりおもしろくなりそうだ。早く乗ってみたい。(編集担当:久保田雄城)