ロレンソ2度目の王者、ストーナー引退・・・MotoGP2012を振り返る

2012年11月14日 21:53

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今年のMotoGPも最終戦スペイン・バレンシアGPを終え、ドラマティックな舞台も終演を迎えた。

今年のMotoGPも最終戦スペイン・バレンシアGPを終え、ドラマティックな舞台も終演を迎えた。

 ポイントランキング争いが大詰めを迎えた第17戦のオーストラリアGP。ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)がダニ・ペドロサ(ホンダ)を突き放し、チャンピオンを決めるのか、それとも激しい追い上げをみせるペドロサが更にポイント差を縮め、最終戦に望みを繋げるのか、2人のバトルに注目が集まった。ロレンソの素晴らしいスタートでレースは始まり、ペドロサがすぐに1位の座を奪ったが、2周目にまさかの転倒、チャンピオン争いはあっけなく決着がついてしまった。その後レースは、ケイシー・ストーナー(ホンダ)が圧倒的な強さを見せ、最後の母国グランプリを独走するが、ロレンソは見事に2位でフィニッシュし、2012年のタイトルを手にした。

 そして、タイトル争いも決着したMotoGPはチャンピオンが凱旋する最終戦を迎える。

 最終戦のリカルド・トルモ・サーキットには、ポイントランキング争いのプレッシャーからも解放され、違った展開の面白いレースを期待する観衆で埋め尽くされた。天才ライダーの最後の雄姿、タイトルを争った地元ライダーの熱いバトル、代役ながら参戦した日本人ライダー中須賀克行(ヤマハ)の走りなど見所満載となるレースはウェットコンディションとなり、大波乱となった。微妙な天候はスリックタイヤとレインタイヤのチョイスにそれぞれ分かれ、ウォームアップ走行後にマシンを変えたポールポジションのペドロサがコース上に不在のまま展開の読めないスタートとなった。レースはロレンソを含む数名のライダーが転倒・リタイアする荒れたレースとなったが、ピットスタートを余儀なくされたペドロサが逆転で優勝、年間最多勝利を手にした。引退レースとなったストーナーは3位表彰台を獲得、中須賀は渾身の走りを見せ、日本人ライダーとして6年振りの2位表彰台に輝いた。

 2012年のシーズンは閉幕したが、思えばチャンピオンとなったロレンソは非常に安定していた。

 排気量が1,000ccとなった今シーズン、どのチームも手探り状態で開幕を迎える中、ロレンソは開幕戦のカタールGPで見事優勝、昨年の怪我による影響を感じさせない強さで、チャンピオン候補に名乗りを挙げた。2位にはペドロサ、3位にはストーナーとホンダ勢が入り、今年も3人のライバルによる熱い戦いを予感させた。また、モンスターヤマハテック3の2人のライダー、カル・クラッチローとアンドレア・ドビツィオーゾが好調な走りを見せ、4位・5位に入り、ヤマハ勢の元気な姿が印象的なレースだった。

 チャンピオンを獲得したロレンソは全18レース中、優勝6回、2位10回と、第7戦のオランダGPと最終戦のバレンシアGPのリタイアを除き、16レースでトップ2に入るという抜群の安定感を見せ、最終戦を待たずに年間タイトルを手にした。一方、最大のライバルと目されていたストーナーは、第4戦フランスGPで、今シーズン限りで引退することを発表、その後、ケガで3戦を欠場し、ポイントランキング争いからは脱落した。代わりにロレンソとチャンピオン争いを繰り広げたのはストーナーのチームメイトペドロサ。シーズン後半は3連勝などでロレンソに対し、確実にポイントを詰め、追い上げを見せたが、崩れないロレンソに対して常に先着しなければならない焦りが、大一番の第17戦のオーストラリアGPでのミスを招く結果となった。

 2013年シーズンもレーススケジュールやトップチームのシートも決まった。チャンピオンとして迎えるロレンソのチームメイトには3年振りに古巣に復帰するバレンンティーノ・ロッシ。引退したストーナーの後釜に座るマルク・マルケスは今年、Moto2クラスで圧倒的な強さを見せた期待のライダー。ペドロサとの強力体制は打倒ロレンソに向け、必ず激しいレースを展開してくれるに違いない。雪辱を誓うドゥカティも、今年モンスターヤマハテック3で活躍したドビツィオーゾを迎え入れ、ニッキー・ヘイデンと共にグランプリを盛り上げる存在になることを期待したい。

 来年は19戦で行われる予定のMotoGP。今から開幕日の3月31日が待ち遠しい。(編集担当:加藤隆文)