前日のNYダウは第4四半期決算発表第一弾のアルコアの決算が悪くなかったのを好感して61ドル高。10日朝方の為替レートはドル円が88円台、ユーロ円が115円台に乗せて円安基調が戻り、日経平均は56.54円高の10635.11円で始まった。円安トレンドはすっかり日常化している。終値は74.07円高の10652.64円で、大引けまで10600円台半ばの67円幅の狭いレンジで推移し、前日とうって変わって静かな値動きだったが、売買高は40億株を突破。売買代金も2兆円にあと少しと迫り、活気ある商いも日常化している。
値上がり銘柄は1218、値下がり銘柄は396で大型株から小型株までまんべんなく買われ、TOPIXは+9.97の889.02で昨年来高値を更新した。値上がり業種は海運、鉄鋼、保険、精密、繊維など。値下がり業種は空運、証券、その他金融、小売などだった。
前場に中国の12月の貿易統計が発表され、市場予測を約1.5倍上回る貿易黒字を計上して輸出は確実に回復中。それが海運株、鉄鋼株の株価を押し上げ、第一中央汽船<9132> が値上がり率4位、乾汽船<9113>が同5位に入った。日本郵船<9101>、商船三井<9104>、川崎汽船<9107>はともに9円高。NTTドコモ<9437>が12月の契約件数が純増に転じたと発表して上昇。ピックアップトラックの開発でGMと再提携したいすゞ自動車<7202>は20円高で、「電気自動車の時代になれば技術競争は振り出し」と言われても、日本車の技術に対する海外からの高評価は変わらない。
今週前半悪かった銀行株に活気が戻り、三菱UFJ<8306>、みずほ<8411>、三井住友FG<8316>は上昇。みずほは全売買高の約1割の4億株が取引された。住宅ローン減税に現金給付を加えるという報道で大和ハウス<1925>など住宅関連銘柄が買いを集め、防衛関連の三菱重工<7011>は終値456円、外資系証券が投資判断を引き上げた武田薬品工業<4502>は4140円で昨年来高値を更新した。
ボーイング787の不具合は全日空の国内線でも発生したが全日空<9202>は1円高。しかしJAL<9201>は155円安。自民党税調が法人税を免除されているJALが配当を出すのはおかしいと問題視しているという記事が日経新聞に出て、大幅安になった。今日は売られて値下がり率のほうでアイフル<8515>が1位、オリコ<8585>が3位と、仲良くランクインしている。ファーストリテイリング<9983>は四半期決算発表前の様子見で続落した。
今日の主役は九州・小倉に本店があるデパートの井筒屋<8260>。一時ストップ高の30円高で値上がり率ランキング1位になり、終値は92円。北九州市や山口県の人にとってはおなじみの存在でも全国的な知名度は薄い。2009年に久留米市、福岡市の店舗を閉鎖して以来、経営再建中だったが、2月期決算での売上高や営業利益の業績予想を引き上げたのが好感された。しかしストップ高になるほどの材料とは思えず、低位株のマネーゲームだとしたら株式市場に個人投資家が戻ってきた証拠と言えそうだが、〃特殊な投資家〃による仕掛けの匂いもする。(編集担当:寺尾淳)