【今週の振返り】続落した後、尻上がりに139円上昇した週

2015年08月08日 20:32

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今週の主役は魔都・上海からやってきた「午前10時半のスナイパー」。撃たれて下落するか、撃たれず上昇するか。東京市場はいまだ、泣くも笑うも上海次第。

 後場はほぼ前引け並みの水準で再開し、午後0時台は20700円台で徐々に、徐々に値を下げたが、1時台は反発。それでも値幅は30~40円程度で猛暑の午後の「シエスタ」に入っていく。2時に発表された6月の景気動向指数速報値は、一致指数は0.7ポイント上昇の112.0、先行指数は1.2ポイント上昇の107.2だったが、基調判断は「足踏みを示している」で据え置き。午後の上海市場はプラスに浮いたり、マイナスに沈んだりの繰り返し。日経平均は2時30分頃「シエスタ」から目覚めると安値を取りながら下落し20700円も割り込んで2時45分に20688円まで下げる。やはり7日の日銀会合とアメリカ雇用統計の結果待ち。終盤は20700円をはさんで上下に動いた末、土壇場でストンと急落して50円高の20664円で安値引け。TOPIX、JPX日経400は7日続伸しながら安値引け。日経平均先物日中取引も安値引けだった。上海市場は下げ幅を拡大して結局-0.89%で終えた。

 日経平均終値は50.38円高の20664.44円、TOPIX終値は+7.73の1673.58。売買高は25億株、売買代金は3兆875億円で連日の3兆円超え。値上がり銘柄数は1081、値下がり銘柄数は678。上昇セクターは22業種で、上位はパルプ・紙、繊維、保険、ガラス・土石、輸送用機器、非鉄金属、鉱業など。下落セクターは11業種で、下位は水産・農林、電気・ガス、空運、ゴム製品、医薬品、小売、その他金融などだった。

 7日の日経平均は3日続伸。雇用統計発表前日のNYダウは120ドル安で2014年10月以来の6日続落。イングランド銀行のカーニー総裁は「利上げの時期は迫っている」と言いながら議事要旨では早期利上げ観測後退。新規失業保険申請件数は3000人増で悪化したが〃好材料〃にならず、NYタイムズやFOXの決算の悪さ、ディズニーの続落、アップルの軟調などで一時177ドル安まで下げた。8月はイエレンFRB議長はジャクソンホールに行かず、FOMCも記者会見も講演もなく「天の岩戸」に隠れて真意がつかめないので、利上げ時期に関する憶測が乱れ飛んでマーケットの様子見を招いている。為替のドル円はロンドン時間で一時125円に迫って124円台後半、ユーロ円は136円台前半。CME先物清算値は20640円だった。

 日経平均は62円安の20601円で始まる。TOPIXもマイナス。序盤は下げ幅を圧縮して午前9時20分に20647円まで上がるが、そこから80円下がって20600円を割り込み9時58分に20567円まで下げる。日銀会合やアメリカ雇用統計の発表前で不安定。今週の株価の頭を抑える要因の一つと見られているTPPは、閣僚会合の再開が8月末から9月に延期。「九月になれば」展望は開けるか?もっとも上海市場がプラスで高く始まったことが「鎮静剤」になって10時台後半から20600円台に安定的に乗せる。しかしプラスには浮上できない。今週の前場はずっと上海の顔色うかがいが続いた。20600~20630円のレンジでの小動きした後、前引けは57円安の20606円。TOPIXもマイナスだった。

 午後0時20分すぎに日銀の金融政策決定会合の結果が発表された。金融政策現状維持で「プチ緩和」もなかったが後場の日経平均はわずかながらプラスに浮上して再開する。TOPIX、JPX日経400はマイナスのまま。日経平均寄与度が大きいソフトバンクG<9984>、KDDI<9433>のモバイル通信関連2銘柄が急騰して引っ張る。TOPIXも遅れてプラスに浮上し、日経平均とともに上げ幅を拡大した。上海市場はプラス圏で安定飛行。日経平均は20700円を突破して午後0時36分に20734円まで上昇し、さらに1時12分には20738円、1時55分には20745円まで上がる。しかし、やはりアメリカの雇用統計発表直前の「利益確定売りの金曜日」で、2時台に入ると風向きが変わりズルズル下げていく展開。2時30分すぎには一時20700円を割り込んだ。終盤は乱高下。大引け直前の2時59分に20754円まで上昇して高値を取るものの、高値引けではなく30円も押し下げられて60円高の20724円で終えた。日中値幅は186円と大きくなった。TOPIXは1680台で終われなかったが8日続伸。大引け後にJPX日経400の採用銘柄入れ替えが発表されるので、証券会社が予想する採用候補が買われ、除外候補が売られていた。上海総合指数は2.25%のプラスでおとなしく終えた。

 日経平均終値は60.12円高の20724.56円、TOPIX終値は+5.61の1679.19。売買高は23億株、売買代金は2兆8199億円で84営業日連続で2兆円を超え、「夏枯れ」どこ吹く風の新記録更新が続く。値上がり銘柄数838より値下がり銘柄数936のほうが多い。上昇は24業種で上から保険、金属製品、建設、繊維、ガラス・土石、機械、鉄鋼など。下落したのは下から空運、倉庫、医薬品、陸運、小売、サービス、パルプ・紙など9業種だった。

 今週の星取は3勝2敗。前週末7月31日の終値20585.24円から139.32円上昇して、上海市場を意識せざるを得ない状況から脱しきれなかった今週の取引を終えた。