【今週の振返り】ギリシャも上海も区切りがつき871円上昇の週

2015年07月18日 20:47

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「悪い夢を見たことを、早く忘れたい」そんな情念をぶつけるように東京市場は上昇、上昇、また上昇の5日続伸。カタルシスで投資家の心は浄化されたか?

 13日の日経平均は大幅反発。前週末10日のNYダウは211ドル高で、NASDAQも75ポイント高。12日のEU首脳会議を前にギリシャ政府が提出した財政改革案を評価して楽観に傾き、ヨーロッパ市場は全面高。上海市場の続伸で中国リスクも低下したとみなされた。イエレンFRB議長は講演で「年内利上げが適切」と発言したが反応薄。円安ドル高を背景にCME先物清算値は20085円で2万円台を回復した。週末、ギリシャ議会は11日に財政改革案を承認したがユーロ圏財務相会合は2日間かけても結論が出ず、19ヵ国のユーロ圏首脳会議も同様でEU首脳会議は結局、開かれなかった。ドイツが依然強硬で、政権基盤の弱さで合意できないフィンランドという〃伏兵〃も出現。ギリシャに15日までの改革案の法制化を求めるにとどまった。13日朝方のドル円は122円台後半、ブリュッセルから速報が入るたびにユーロ円は右往左往し、朝方は136円台前半だった。

 ギリシャに決着がつかず依然モヤモヤした状況の中、日経平均は150円高の19929円で始まる。TOPIXは1600台に乗せて始まった。しかし日経平均は心理的節目の2万円がレンジスタンスラインになり、なかなかタッチできないままもう一つの世界の大問題、午前10時30分の上海市場の開始を待つ。その序盤はマイナスになる場面もあったがすぐに上昇に転じる。上海は前週末の続伸を見て売買停止を自ら解除する銘柄が相次ぐ「現金さ」。その理由は後からついてくる。中国市場への安心感に後押しされて日経平均は4営業日ぶりに2万円を突破。一時的に割ってもすぐ回復し、前引けは231円高の20011円だった。

 ユーロ圏緊急首脳会議は徹夜の協議。ブリュッセルの夜明けが近づくと、日本時間の正午前後に「ギリシャ問題は合意に向けて最終局面」と一斉に報じられ、ユーロ円は136円台後半に。後場は279円高と高く再開。午後0時台のうちに20100円台にタッチし、午後1時41分には20120円まで上昇する。その後は20100円をはさんで一進一退の小動きが続き、大引けは309円高の20089円。終値ベースで日経平均が2万円台を回復したのは4営業日ぶりで、TOPIXも終値で1600を回復した。上海市場は3営業日続伸した。11日に岩田聡社長が死去した任天堂<7974>は「泣くなよ」と290円高だった。

 日経平均終値は309.94円高の20089.77円、TOPIX終値は+29.96の1613.51。売買高は20億株、売買代金は2兆3067億円。値上がり銘柄数は1706、値下がり銘柄数は143。32業種がプラスでその上位は空運、電気・ガス、陸運、水産・農林、小売、食料品、保険など。マイナスは鉱業1業種だけだった。

 14日の日経平均は大幅続伸。NYダウは217ドル高で18000ドルの大台に接近。NASDAQは5000台回復。日本時間で前日夕方、ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長が記者会見で「ギリシャの債務問題、金融支援について合意した」と発表するとユーロ円は137円台後半にはね上がり、13日のヨーロッパ市場は全面高になった。最大860億ユーロの財政支援で債務デフォルト、ユーロ離脱は免れるが、15日までにギリシャ議会の承認を得て財政改革案が法制化されるという条件つき。ブリュッセルも徹夜なら、ウィーンも徹夜。イランの核協議は大詰めで「合意近し」とみられて原油先物は安くなった。ドル高進行で朝方のドル円は123円台半ば、ユーロ円は135円台後半に落ち着いていた。CME先物清算値は20380円。

 ギリシャも中国も「カタがついた」とみなされたリスクオンの地球周回を受け、日経平均は265円高の20355円で始まる。日足一目均衡表の「雲」の上に出て25日移動平均線の20289円をスルーし、250円以上の大マドを空ける。TOPIXも大幅高スタート。序盤から20400円に接近するがタッチはできない。ギリシャは20年前に日本で起債した円建て外債「サムライ債」約116億円を、武士に二言なく予定通り償還。日経平均は午前9時33分にはようやく20400円を突破して9時44分に20435円まで上昇する。しかし、10時30分に上海総合指数が4日ぶりの反落で始まるとそれに影響され20400円台を維持できなくなる。上海急落のカタは、まだついていないらしい。前場の残り時間は20300円台後半でずっと安定的に推移し、前引けは301円高の20391円だった。

 上海市場は午前の取引をマイナスで終了し、後場の日経平均は若干上げ幅を圧縮して再開。それでも20400円を軸にした小動きが続く。1時台後半からは20400円を上回っていたが、上海市場の午後の取引が始まり下げ幅を拡大すると2時台には再び20400円を割り込み、2時25分には20322円まで下げる。「ギリシャのチプラス首相が退陣、総選挙へ」という一部報道がありドル円も円高に振れたが、神経過敏気味でも大崩れはしない。6月の首都圏マンション新規発売戸数は前年同期比-7.1%の低水準。日経平均は終盤に先物主導で戻したが20400円には届かず、大引けは295円高の30385円。TOPIXは3日続伸した。

 日経平均終値は295.56円高の20385.33円、TOPIX終値は+25.20の1638.71。売買高は24億株、売買代金は2兆6590億円。値上がり銘柄数は1694、値下がり銘柄数は147。全33業種が上昇し、その上位は証券、非鉄金属、ゴム製品、鉄鋼、石油・石炭、パルプ・紙、その他金融など。下位は精密機器、食料品、水産・農林、空運、電気・ガス、建設、情報・通信などだった。