景気回復の風を受け、民間給与が2年連続増

2015年10月07日 12:27

 安倍首相によるアベノミクス効果により、少しずつ息を吹き返しつつあるとみられる日本経済だが、その恩恵はどの程度、市井の人にまで及んでいるのだろうか?私たちが「景気が良くなった」と感じる時、それはやはり受け取る給与の金額が増えた時ではないだろうか。テレビニュースや新聞などで、いくら景気の動向を解説されても、やはりこの「給与」に変化がみられなければ、なかなか実感として「景気が良くなった」と思うことはできない。その給与に関する調査を30日、国税庁が発表。それによれば、民間企業に勤める人たちに支給される給与の平均が、2年連続で増加したことがわかった。

 30日、国税庁は民間企業に勤める人たちに、2014年の1年間で支給された給与の平均を発表。それによれば、平均給与は前年度比0.3%アップの415万円であり、2年連続でプラスとなった。平均給与を雇用形態別に見てみると、正規雇用者(役員らを除く)は前年比1.0%アップの477万7000円で、パートやアルバイト、派遣社員などの非正規雇用者は前年比1.1%アップの169万7000円となっている。正規雇用者と非正規雇用者の平均給与の差は308万円であり、前年の305万2000円よりも2万8000円拡がった。正規雇用者と非正規雇用者の格差が、少しずつではあるが拡大している現状をうかがい知ることができる。給与の内訳は、給料・手当が353万円で前年から横ばい。賞与は前年比2.6%アップの62万円であった。

 業種別に見てみると、最も平均給与が高かったのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の655万円で、次いで「金融・保険業」が610万円であった。反対に、最も低かったのは「宿泊・飲食サービス業」の237万円であった。

 平均給与は、国税庁が抽出した民間企業約2万社(約29万9000人)の給与から推計。年間を通して勤務した給与所得者は前年比2.4%アップの4756万3000人で、過去最多となった。正規雇用者は前年比1.6%アップの3104万1000人、非正規雇用者は前年比4.9%アップの1090万2000人であった。

 国税庁は今回の結果に関して、景気回復を背景に働く人の数が増えたことにより、給与の水準も上がったとの見方を示している。この結果だけを見ると、私たちを取り巻く経済環境は回復しつつあるように思われる。事実、平均給与も2年連続で増加している。しかし、この傾向が「実感」をともなうまでには、もう少し時間がかかりそうだ。(編集担当:滝川幸平)