プラグインハイブリッドはエコカーの最適解か?

2013年01月26日 18:06

  ついに三菱自動車<7211>から国内2台目のプラグインハイブリッド車が発売された。アウトランダーPHEVは、新型アウトランダーをベースにしたハイブリッド車で、前々回の東京モーターショーで発表されたプロトタイプを量産化したものだ。フルタイム4WDでモーターのみの走行からガソリンエンジンとモーターを組み合わせた4WDまで多彩な走行モードを備えているのが特徴で、負荷の少ない市街地では、バッテリーの充電量が減少するとエンジンで発電しモーターで走行するシリーズ式ハイブリッドになる。強力な加速が必要ではない時にはエンジンを一定の回転数で運転して発電させてモーターで走行した方が効率がいい、という考え方だ。そして空気抵抗など走行抵抗が大きい高速道路走行では駆動力はエンジンが主役である。

  JC08モードで67km/Lという燃費は、「第3のエコカー」ダイハツ<7262>ミラ イースやホンダ<7267>のフィットハイブリッドだけでなく、トヨタ<7203>プリウスPHVの61km/Lを軽々上回るものだ。と言っても、この数字はプラグインによる充電分の貢献度を換算したもので、それを使い切った状態でエンジンを併用するハイブリッド走行をした場合は18.6km/Lとなる、言わばハイブリッドならではのからくりがある。

  それでもプラグインハイブリッドなら駐車中に充電を行なえばガソリンを消費しない。しかもアウトランダーPHEVの場合、EVとして使える領域が広いのも強みだ。プリウスPHVの26.4km(JC08モード)というEVモード走行距離に比べ、60.2kmもの距離をバッテリーだけで走れる能力を備えていることは、燃費至上主義の通勤使用ドライバーにとって大きな魅力だろう。SUVはコンパクトカーやミドルセダンなどと比べ燃費が悪いという常識は、逆に大柄なボディのおかげでバッテリーの搭載量を増やせることによって覆されるかもしれない。

  さらにエネルギー効率のいいEVでは、年に1,2回の帰省時にも巡航距離の問題で不自由することから購入をためらう人が多い。充電インフラや電池の性能も過渡期な現在では、まだまだハイブリッドやコンパクトカーに代わる存在とはなり得ないのが現実だ。そう考えればプラグインハイブリッドが、現時点で最強のエコカーと言える見方はできる。

  ただし幕の内弁当のような何でも盛り込んだプラグインハイブリッドは、当然ながら車両価格も上昇する。それでも330万円~430万円という価格設定は、プリウスPHVと比べても割安感のあるもので、i-MiEV発売の時のように利益を抑えてまで普及させようと努力する三菱自動車の姿勢が見える。

  搭載されている大容量バッテリーの性能劣化は免れないが、リチウムイオンバッテリーの充電容量がまだ十分なうちに次のクルマに買い替えるなら、コスト面での問題もほとんど無い。今より5年後、リチウムイオンバッテリーの供給状況がどうなっているか、あるいは他の素材にとって代わられるかは分からないが、プラグインハイブリッド車の上昇気流は当分続きそうだ。

  EV同様、自宅で充電できることがプラグインハイブリッドを購入するための住環境として求められるものの、軽自動車やコンパクトカーでは満足出来ないユーザーにとって、プラグインハイブリッド車はやはり魅力的だろう。

  今後はクリーンディーゼルとプラグインハイブリッドの融合も期待出来るだけに、ここ数年はミドルクラス以上のエコカーが急速に充実していくことになりそうな気配だ。(編集担当:高根英幸)