PB食品市場、2017年にはコンビニだけで1兆円超

2013年01月30日 08:34

 富士経済の調査分析によると、2012年は小売りベースで前年比9.4%増の2兆6385億円が見込まれているPB(プライベートブランド)食品市場。近時では、各地のコンビニエンスストアでPB商品を前面に打ち出すような模様替えが実施されたことで、その勢いを感じている人も多いのではないだろうか。同調査でも2017年には2011年比133.1%の3兆2093億円と予測されており、中でもコンビニエンスストアによるPB食品市場は、同142.9%の1兆1225億円にまで拡大すると見られている。

 コンビニエンスストアでは、定価販売が基本である。その為、PB食品の価格訴求力が大きい。さらに、ブランド開発にも積極的で、単身世帯や共働き世帯をターゲットとしたパウチ惣菜やスイーツなど新たなPBカテゴリーも創出している。こうしたことが、他の販売チャネルにも増して市場拡大を成し遂げている要因となっている。また、プレミアムを訴求した商品も人気を得ており、スイーツの他、酒類のPB商品充実が市場拡大を後押ししている。例えばPBビールは、これまでビール大手4社の受託が進まず市場は僅かであった。しかし2012年、セブン&アイ<3382>グループとサッポロ<2501>ビールが共同開発したセブンプレミアム初のビール「セブンプレミアム 100%MALT」の発売が大きなインパクトを与え、市場は前年比58.7%増の522億円が見込まれている。

 景気低迷が続く現状に置いて、拡大する市場というのは貴重であり、歓迎すべき状況であろう。しかし、男性顧客中心であった市場が、主婦やシニア層の需要を取り込んで拡大、2012年は前年比22.6%増と予測されているパウチ惣菜や、調理の簡便化や買い置き需要の高まりによりニーズが高まっており、ワンプレート商品など加工度の高い商品開発が活発化している冷凍食品などの市場拡大は、本当に歓迎すべき現象であろうか。この市場拡大が、便利さや「時代」などという曖昧な言葉の下、大切な何かを失いつつあるという裏返しでないことを祈るばかりである。(編集担当:井畑学)