電通の海外本社電通イージス・ネットワークは1日、ブラジルの総合広告会社「NBS」の株式70%取得と、今後株式持分のシェアを拡大し完全子会社化するオプションを電通グループが有することにつき、同社株主と合意したと発表した
電通<4324>の海外本社電通イージス・ネットワークは1日、ブラジルの総合広告会社「NBS」(PPR Profissionais de Publicidade Reunidos S/A、「PPR」)の株式70%取得と、今後株式持分のシェアを拡大し完全子会社化するオプションを電通グループが有することにつき、同社株主と合意したと発表した。なお、ブラジル関係当局による競争法上の承認を得るため、取得完了は4~6週間先を予定している。
2002年に設立されたPPRは、「NBS」というブランド名の広告会社として事業を展開している。統合的な広告コミュニケーション・サービスに強みを持ち、いくつもの現地大手企業を顧客として抱え、13年のメディア事業の取扱高では総合広告会社としてブラジルで14位、独立系では最大規模の広告会社となっている。
これまで電通グループのブラジルにおける顧客向けサービスは、総合広告会社である電通ラテンアメリカ(電通ブラジル)を中心に、専門領域をカバーする総合デジタルエージェンシーであるLOV Interactive Communications(ラブ)や、デジタル分野のグローバル・ネットワーク・ブランドであるIsobar(アイソバー)系列のAgenciaClick Isobar、AGE IsobarやiProspect(アイプロスペクト)などを通して行ってきた。
今回の買収施策は、14年のFIFAワールドカップや16年のリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックを控え、成長を続ける南米最大の広告市場であるブラジルにおいて、同社グループの基幹となる機能を持った拠点の構築が目的。そして、同国の広告・マーケティング領域での競争優位をさらに高め、同社グループの成長戦略を加速させることにある。
電通グループのメディア・コミュニケーション・エージェンシーであるCarat(カラ)が2014年3月に発表したブラジルの広告費は、13年は前年比で7.1%の成長を示し、14年、15年もそれぞれ10.0%増、8.1%増と高い成長が続くと予測している。
電通はここのところ、世界戦略を進めており、欧州やアジア、オーストラリアなど世界各地のメディア企業の買収を進めている。今回はブラジルを足掛かりとして南米進出を進める。(編集担当:慶尾六郎)