15年以降に女性社長が就任した企業は5740社

2016年04月20日 09:43

 4月1日に女性活躍推進法が施行され、従業員301人以上の企業で女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが義務付けられるようになった。生産年齢人口の減少が見込まれる現状において、性別に関係なく意欲・能力の高い人材を確保することは企業経営において必須の課題であるが、女性が働き続けるためには様々な障害があることも事実である。法の整備が進むなか、企業で活躍する女性が今後増加していくか、注目される。

 帝国データバンクでは、2月末時点の企業概要ファイル「COSMOS2」(約146 万社収録)から、2015年以降に新しく女性社長が就任した企業を対象に、社長の年代や業種、資本金規模、都道府県、社長交代企業の就任経緯等を分析した。

 それによると、2015年以降に女性社長が就任した企業は5740社判明した。このうち、社長交代による就任は5254社、新設による就任は486社であった。女性社長の年齢が判明している企業について平均年齢を見ると、社長交代企業が55.6歳、新設企業が45.6歳だった。また、女性社長の年代別構成比では、社長交代企業は「50代」(構成比29.9%)が、新設企業は「30代」(同31.7%)が最多であったとしている。

 新任女性社長企業を業種別に見ると、社長交代企業は「建設業」(1098 社、構成比20.9%)が最多、次いで「サービス業」(1010社、同19.2%)。「建設業」は男性社会のイメージが強いが、夫である前任社長が死去し、その妻が事業を引き継ぐケースも多いためであるという。

 他方、新設企業は「サービス業」(193社、構成比 39.7%)が最多、次いで「小売業」(76社、同15.6%)と続いた。「サービス業」の内訳を見ると、「経営コンサルタント」や「美容業」、「老人福祉事業」などの業種が目立つ。また、「小売業」では「化粧品小売」や「婦人・子供服小売」など、いずれも女性が多い職場環境において女性社長の割合が高かった。

 新任女性社長企業を都道府県別に見ると、社長交代企業は「東京都」が854社(構成比16.3%)で最多、以降「大阪府」(431社、同8.2%)、「神奈川県」(268 社、同5.1%)。新設企業では「東京都」(174社、同35.8%)が最多となり、新設企業の3社に1社が「東京都」であった。

 政府は、「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という目標を掲げているが、女性が「指導的地位」に就任するためにはある程度のキャリア形成期間が必要である。そのためには、女性が途中でキャリアを絶つことがないよう、保育園や学童の待機児童問題への取り組みや男性の育児参加、そして企業側は就労時間や勤務形態の見直しを行うなど、いろいろな観点からのアシストが必要となろうと同社では分析している。(編集担当:慶尾六郎)