国内企業の66.1%が「後継者不在」 高齢社長は一刻も早い承継準備を

2016年03月05日 14:55

 2月時点の「人口推計(概算値)」では、国内の高齢者(65歳以上)人口は3414 万人で、高齢化率は26.9%まで上昇している。社長業においては、60歳ではまだまだ現役とも言われるが、事業承継を蔑ろにしていては、10年、20年後の会社成長は望むべくもない。円高・株安の観測が強まり、アベノミクスの失速が懸念されるなかで、日本経済にとっては個別企業がその成長の歩みを止めることなく、力を発揮していくことが必要不可欠であり、そのためにも円滑な事業承継がこれまでにも増して重要な課題だと言える。

 そこで、帝国データバンクでは、企業概要データベース COSMOS2(146万社収録)および信用調査報告書ファイル(170万社収録)から、2014年以降の後継者の実態について分析可能な28万9937 社(全国・全業種)を対象に、後継者の決定状況などの後継者問題について調査した。

 2014年以降(2014年1月~2016年1月)の詳細な実態が判明している28万9937 社(全国・全業種)を対象に、後継者の有無を集計すると、9万8224社(構成比 33.9%)が「後継者あり」となっている一方で、66.1%にあたる19万 1713 社が「後継者不在」であることが分かったという。

 社長の年齢別に見ると、「80歳以上」の企業では、3社に1社(34.7%)が後継者不在。また、60歳以上では「70歳代」と「80歳以上」となっている。65歳を前に後継者選定が必要となりえる「60歳代」でも、半数強の54.3%が後継者不在であり、60歳以上の高齢社長全体(13万1257 社)では、ほぼ半数の6万5617社(構成比50.0%)が後継者不在。高齢社長には一刻も早い承継準備が必要だと言えるとしている。

 地域別に見ると、「北海道」が不在率74.0%前となり、9地域中で最も承継準備が進んでいない。また、最も不在率の低い「四国」は50.7%と他地域に比べその水準は大幅に低いものの、調査開始以来初めて不在率が5割を超えた。9地域中5地域で不在率が前回調査を上回り、うち4地域では前々回調査の水準をも上回っているとしている。

 業種別では、全8業種で不在率が前回調査を上回った。上昇幅が最も大きかったのは、「その他」で、次いで、「不動産業」、「建設業」と「サービス業」がそれぞれ 0.9pt上昇し、もともと不在率の高い3業種でも、これまで以上に事業承継準備が進んでいない実態が明らかとなった。

 売上規模別では、「1000億円以上」を除く全レンジで不在率が上昇した。特に売上規模「1億円未満」の零細企業では、後継者不在企業が全体の8割に迫る水準まで上昇している。

 「後継者あり」の企業9万8224 社について後継者の属性を分析すると、「子供」が構成比38.6%で最多となった一方、前々回調査では16.8%を占めていた「配偶者」は8.9%となり、当時と比べほぼ半減。代わって構成比が上昇したのが「非同族」で、前々回調査からは5.8pt上昇となる32.4%。後継者候補の3 人に1人は同族外の人物が選ばれているという結果となった。(編集担当:慶尾六郎)