16年度の業績見通しに関する企業の見解 4社に1社が「増収増益」

2016年04月18日 09:49

画・外形標準課税拡充で地方企業負担増 都市部と格差広がる可能性

帝国データバンクは、2016年度の業績見通しに関する企業の見解について調査を実施した。

 国内景気は、公共工事の減少が地域経済を悪化させる要因となっているほか、中国経済や資源国経済の低迷による金融市場の混乱で企業や家計のマインドを萎縮させるなど、全国的に悪化している。また、人手不足による受注機会の喪失は景気拡大を抑制する懸念材料ともなっているなか、景気動向は地域や業界、規模によって業績に与える影響が異なっている。そこで、帝国データバンクは、2016年度の業績見通しに関する企業の見解について調査を実施した。

 まず、2016年度(2016年4月決算~2017年3月決算)の業績見通し(売上高および経常利益ベース)について尋ねたところ、「増収増益(見込み)」と回答した企業は25.9%となり、2015年度実績見込みから2.0ポイント減少した一方、「減収減益(見込み)」は前年度から3.7ポイント減少したという。

 また、「前年度並み(見込み)」は10.8ポイント増加した。「増収増益」の減少幅より「減収減益」の減少幅の方が大きいほか、企業の41.0%が「増収」(「増収」は、「増収増益」「増収減益」「増収だが利益は前年度並み」の合計)を見込むなど、2016年度業績は厳しい見方を強めながらも業績改善を見込む企業が多くなっている。

 2016 年度の業績見通しを従業員数別にみると、1,000人超の企業では6割近くが「増収」を見込んでいる一方、5人以下の企業では3社に1社にとどまる。「増収増益」も同様の傾向がみられ、2016年度の業績は大企業を中心に回復が進むと予想され、企業業績において規模間格差の拡大が懸念されるとしている。

 2016年度の業績見通しを下振れさせる材料を尋ねたところ、「個人消費の一段の低迷」が40.7%で最多となった。次いで、「外需(中国経済の悪化)」「所得の減少」「公共事業の減少」「人手不足」が続いた。特に、2位の中国経済の悪化を挙げた企業は前回調査(15.0%)から倍増しており、中国の景気低迷に危機感を強めている様子がうかがえるという。

 また、家計の所得増加が厳しい状況のなか「消費税率10%への引き上げをにらんだ買い控え」は約2割となっており、とりわけ『小売』や『不動産』『運輸・倉庫』などの業界で家計支出の抑制を懸念する企業が多くなっている。「賃金の上昇と消費税の据え置きの両方がなければ、消費が落ち込み、景気が悪くなる」(金融、東京都)や「利益に関係なく計算される消費税はこれから先経営に大きく響く」(老人福祉事業、群馬県)といった、消費税率引き上げにともなう消費への影響を指摘する企業も多くあった。

 そして、安倍政権による経済政策(アベノミクス)について、現在までのアベノミクスの成果を100点満点で評価した場合、何点と評価するか尋ねたところ平均60.3点だった。企業は3年余りにわたるアベノミクスについて60点以上の点数をつけているものの、前回調査から3.9ポイント低下しており、厳しい目で見る企業が増加したとしている。(編集担当:慶尾六郎)