原子力規制委員会の田中俊一委員長は17日の参院予算委員会で熊本地震の特殊性にかんがみ、九州電力川内原発(鹿児島県)の運転を中止すべきでないかとの提起に「原子力規制委員会の審査では92.7キロメートルにわたり、二つの断層が同時に動くということを仮定し、その時のマグニチュードが8.1、その場合に川内原発に与える地震の影響は100ガル程度と評価している」としたうえで、今回地震での測定値や原子炉の自動停止数値などを示し、懸念には及ばない数値になっていると提示し「現在のところ、川内原発を止める理由はないと判断している」と答えた。
田中委員長は「地震はまだ続いているので、引き続き注視し、適切な判断をしていきたい」と答えた。
社会民主党の福島みずほ副党首が現在唯一稼働している原発が九州電力川内原発で、今回の熊本地震がこれまでの地震学の知見を大きく覆す地震だったこと。複数の断層が連動したもので、繰り返し地震が起きていること。余震回数が過去に例を見ない頻度で続いていることなどから、地震の専門家は川内原発への影響を危惧しているとし「川内原発は運転を中止すべきではないか」と質したのに答えた。
福島副党首は「基本的に地震の余地はできない。私たちが本震だと思った地震は前震だった。そして余震が今も続いている。こんな状況で川内原発を動かしてはならない」と強く停止を求めた。
また福島副党首は愛媛県にある四国電力伊方原発についても、専門家の見解を取り上げ「今回の地震の延長線上に中央構造線断層帯があり、伊方原発との距離が6キロメートルと指摘している」とし、「伊方原発の再稼働を中止すべき」と求めた。
田中委員長は「南海トラフ巨大地震でマグニチュード9を想定し、この地震が起こっても基準値震動を下回ることを確認している」としたうえで「こうした判断をしているが、最新の科学的知見を踏まえて、今後とも地震動については判断していきたい」と答えた。(編集担当:森高龍二)