縮小するブライダル市場、式場は供給過多に

2013年02月01日 07:16

 矢野経済研究所がこのたび発表した「ブライダル市場に関する調査結果 2013」によると、2012年のブライダル関連市場は2兆6170億円、前年比1.7%のマイナスとなった。市場が縮小した背景には、婚姻件数の減少や一組あたりの挙式単価の下落がある。

 ブライダル市場は、リーマン・ショック後の2009年から縮小傾向。主な理由は「挙式・披露宴・披露パーティ」市場の落ち込みだ。これらの挙式・披露宴関連だけでブライダル市場の5割以上を占めるため、いわゆる「地味婚」が増えれば増えるほど市場は縮むことになる。

 また長期的に見れば、結婚しない若者の増加はブライダル関連市場にとって脅威だ。東日本大震災後の「絆」意識の高まりで婚姻件数が増えるのではないかとの予測もあったが、結婚情報サービスに登録する会員は増えたものの婚姻件数は伸びなかった。

 結婚式場業者はこれまで、一定の利益が見込める挙式・披露宴施設の積極的な新規出店を進めてきた。バブル期には豪華絢爛な披露宴が流行。各事業者はこぞって豪華な式場を建て、「派手婚」ブームを作ってきた。大規模な式場への投資は、一組あたりの利益率を高めることで回収できたのだ。

 しかし90年代には、経済状況の悪化から挙式や披露宴をおこなわない「地味婚」が増加。披露宴施設は供給過多となっている。式場側はレストランウエディング風の式場を建てるなどして生き残りを図ってきたが、消費者のコスト意識の高まりによって、あくなき価格競争が始まった。

 最近では、夫婦2人で10万円からリゾートウェディングができるという株式会社レックの「小さな結婚式」や、自己資金が17万円程度で披露宴ができる「スマ婚」(株式会社メイション)など、格安結婚式が人気を集めている。

 今後はこうした格安結婚式と、一部の有力ホテルや式場などへの二極化が進むだろう。中堅業者にとってはいかに消費者のニーズを掴むか、悩ましいところだ。

 近年、若者の雇用が不安定化するにつれて、挙式どころか結婚すらできない若者が増えている。各事業者にとっては今後、自分たちが作り上げた派手婚ブームの「遺産」ともいえる巨大な式場や、費用のかかる披露宴のシステムがますます重荷となっていくことは間違いないだろう。