ここ数年、順調に需要が拡大しているカード関連市場。2012年の国内カード決済サービスは、47兆3,870億円と内閣府の「国民経済計算」を基に富士キメラ総研が推計した国民消費支出(租税公課を除く)280兆5,202億円の17%を占めると見込まれ、2016年には同278兆6,926億円の22%超、62兆6,992億円に拡大すると予測されている。
需要拡大の要因としては、カードやモバイル端末へのICチップ搭載が標準化したことが大きいと考えられるという。中でも電子マネー決済が高成長を続けており、特にスマートフォンを利用した決済は、FeliCa/NFCの共通対応が標準化されることにより期待が高まっている。
また、世界のカード市場は、クレジットカード・デビットカードの普及と現金以外の決済利用を背景にして欧米諸国を中心に接触式ICカードが普及している。非接触式ICカードは交通乗車券及び少額決済、公的カードとして導入されており、アジアでもFeliCaを利用した交通乗車券を導入する国が多く見られている。国内では、接触式ICカードは金融向けに安定した需要が予測され、非接触式ICカードは電子マネー向けや国民IDカード向けなどの需要が拡大。国内のスマートフォン/フィーチャーフォンの非接触式ICチップの搭載比率は今後も伸長していくと考えられる。
なかでも注目市場はスマートフォンの普及に伴ってID情報と購買情報、位置情報などを関連させた「ネット」と「リアル」を融合した新たなマーケティング手法であるO2O(Online to Offline)ビジネス。このO2Oサービスを利用することにより、オフラインとオンライン上での詳細な行動履歴や購買履歴を組み合わせ広告ビジネスに活かせたり、インターネット上におけるクーポンやサービスの提供によりリアル店舗に誘導、集客を図ることが可能となる。また、店舗内に購買につながる情報や、購買後にユーザープッシュ型で展開する情報(SNS/ブログなどへの書込み)などへも配信。需要拡大が見込まれることから、このビジネスに注力する事業者が増加している。
このように国内カード関連市場は、O2Oビジネスが注目され、カード関連ビジネスの相乗的な効果も見込まれることからモバイル対応システムが拡大している。そのため2016年の市場は2011年比の6.4倍と予測。一方、セキュリティニーズが高まっており、特に企業や官公庁、大学などを中心に情報管理ニーズ、入退室セキュリティが拡大。今後はクラウド型サービスの登場で汎用性も拡大すると予測される。
今やカード決算サービスの普及は加速するばかりだが、利用者は選択肢の多さに困惑し、申し込んだものの利用していないことが多いのも事実だ。そう考えると明確なサービス内容を認知させる努力を企業側が行い、利用者が決算内容によって利用をすみわけできることがこの市場の持続的な発展につながるのかもしれない。(編集担当:宮園奈美)