IT専門調査会社 IDC Japanは、企業向けルーター、企業向けイーサネットスイッチ、企業向け無線LAN機器からなる国内企業向けネットワーク機器市場の2015年実績と予測を発表した。
それによると、2015年の国内企業向けネットワーク機器市場は、前年比成長率5.6%で増加し市場規模は2,131億800万円になった。2015年の成長は、データセンター向けイーサネットスイッチ需要の増加と、企業における無線LANの継続的な利用拡大がけん引した。製品分野別の成長率を見ると、データセンター向け需要がけん引した企業向けイーサネットスイッチ市場は、前年比成長率6.3%で成長した。また、企業向け無線LAN機器市場も依然として高い成長を続けており、2015年も9.3%と大きく伸びた。
2015年の国内企業向けネットワーク機器市場をベンダーシェアの視点から見ると、シスコシステムズが、3つの製品分野すべてにおいて首位を獲得し、同市場全体でのシェアは47.8%に達した。各製品分野ではシスコシステムズに対抗し得るベンダーは存在するものの、企業向けネットワーク機器市場全体では、製品や事業ポートフォリオの総合力で抜きんでた存在と言えるという。同社の国内企業ネットワークにおける浸透度の高さと、製品ポートフォリオの充実度が、改めて強く意識される結果になった。
今後の国内企業向けネットワーク機器市場について、大きな成長は見込みにくいものの安定した市場であるとIDCではみている。国内企業向けネットワーク機器市場全体の2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は0.7%で、2020年の市場規模は、2015年とほとんど変わらず、2,203億7,800万円と予測している。製品分野別で見ても、同期間の企業向けイーサネットスイッチ市場のCAGRは0.9%、同じく企業向けルーター市場はマイナス1.1%、企業向け無線LAN機器市場については2.3%と予測している。
国内企業向けネットワーク機器市場は、全般的には低成長市場でありますが、局所的、限定的には成長領域が残されている。たとえば、IoT(Internet of Things)に代表されるようなPC、サーバー、ネットワーク機器以外のNon-ITデバイスのネットワーク接続の増加は、企業向けネットワーク機器市場の新たなけん引役として期待されるという。企業向けイーサネットスイッチ市場においては「IoT向けソリューションの最初の一歩は、Non-ITデバイスのネットワーク接続に適した設定、運用管理機能の強化である。その際に最も留意すべき点は、イーサネットスイッチベンダーが想像する以上に設定機能を簡易にし、工事者や運用管理者の作業を極限までシンプルにすることである」とIDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は述べている。(編集担当:慶尾六郎)