安倍晋三総理は総理任期中に憲法改正を図りたい意向を年頭所感で表明していたが、参院選を控えての地方遊説では過去の選挙同様、ほとんどの演説は経済政策への支持を訴えるばかりで、憲法改正に触れることはほとんどない。逆に12日のNHK番組で、民進党、日本共産党、社会民主党、生活の党は参院選挙で大きな争点にする構えだ。さきの集団的自衛権の行使を含む安保法制問題に続き、安倍総理がめざす改憲勢力確保に対し、これを阻止することは4党共通の目標になっている。
民進党の玄葉光一郎選対委員長は「憲法改正は重要な争点」としたうえで「集団的自衛権の行使をフルに認め、海外で武力行使する考えで行くのか、武力行使を極めて抑制的にすべきとするのか、極めて分かり易い争点になる。党首討論で『平和主義とはなにか』と岡田克也代表が質したのに、安倍総理は『侵略戦争しないことだ』と答えた。侵略戦争しないというのは国際法上当たり前で、(その論理なら)すべての世界の憲法が平和主義になる」と批判。
玄葉選対委員長は「民進党は日本国憲法の平和主義を現実主義をとりながら守っていく」と断言した。
日本共産党の小池晃書記局長は「天皇の制度を含め、全条項で現行憲法を守っていく」としたうえで「自民党の憲法改正草案は憲法9条2項を削除し、国防軍を持つ。基本的人権を公の秩序の名の下に制約する。さらに、憲法97条(基本的人権の永久不可侵性に関する規定)を全文削除するなど、時代逆行の恐るべき中身だ。正面から今回の選挙争点にしたい」と指摘した。
社会民主党の又市征治幹事長は「安倍総理は選挙になると経済政策優先をいうが、2013年の参院選挙後に特定秘密保護法、2014年の総選挙後は安保法制、結局、憲法に係るものを多数議席で持って強行していくやり方だ」とけん制。
又市幹事長は「今度の場合も、年頭所感で『自分の総理任期中に憲法改正をやりたい』と言い続けている。その際に『国際法上持っている権利』つまり、集団的自衛権は全面的に容認したいということを(意味しており)何としても止めなければならない。憲法の3原則と憲法9条(戦争の放棄)はしっかり、守っていく」と改憲勢力を伸ばさないために戦う姿勢を浮き彫りにした。
生活の党の玉城デニー幹事長は「安倍政権による憲法改悪に反対する」と表明し「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義、この3原則は沖縄基地問題をとっても、あてはめられていない。憲法の理念を守っていない政権が憲法改正を言い出すのは国民側からみると『クーデターに等しい』絶対に認められない」と強い姿勢で語った。(編集担当:森高龍二)