過熱するペットブームは少子化の要因か

2013年02月04日 15:05

 バブル前後に叫ばれたペットブームも今やすっかり定着し、ペットが家族の一員であるという意識は当たり前のものとなった。近年では、小型の室内犬ブームによってペットとの(物理的な)距離も縮まり、ますます「ペットの家族化」が進んでいるようだ。

 「家族のようなペット」が増え、その市場は1兆円ともいわれる一方で子どもの数は減り続けている。2003年には犬と猫の合計飼育数が15歳未満の子どもの数を超えたことがちょっとしたニュースになったが、それも10年前。今では子どものいない夫婦が犬を飼うことや、単身女性が小型犬を飼うなどの例は珍しいことではない。ベストセラーとなった酒井順子氏の『負け犬の遠吠え』には、マンションで猫を飼う30代独身女性が「負け犬」の典型的なパターンとして登場している。

 総務省統計局の2009年のデータでは、単身女性が1年間にペットにかける金額は男性の4倍以上。年齢別では35~59歳の単身女性が最も、ペットにお金をかけている 。

 このような例や、ペット市場が拡大するにつれて少子化が進んでいるデータなどを見ると、あたかもペットブームと少子化には因果関係があるように思えてしまう。

 しかし実際にペットの飼育率が最も高いのは50代、次いで60代で、家族形成期にあたる30代のペット飼育率は最も低い 。実態は、子育てが一段落した夫婦がペットを飼う例が多いということだろう。「少子化とともにペットが増えている」のは事実でも、「ペットが増えたせいで少子化になった」とまでは言えなさそうだ。

 とはいえ、ペットを飼っている一人暮らしの女性は、そうでない女性と比べて「恋人が欲しい」と回答する割合が低いというデータもある 。ペットがいることで異性への関心が薄れる面もあるのかもしれない。ただし「もともと異性への関心が薄い女性がペットを飼っているだけ」という可能性もあるが。ペットブームと少子化の因果関係については慎重な検討が必要だが、一人暮らしの独身女性に対する調査にもあったように、ペットが人々の何らかの欲求を満たしていることは確かであろう。