15年度の語学ビジネス総市場規模は前年度比1.7%増の8,272億円

2016年07月24日 15:21

 矢野経済研究所では、国内における外国語学習に関わるビジネスの調査を実施した。調査期間は2016年3月~6月、調査対象は外国語学校、出版社、電子辞書メーカー、ソフトウェアメーカー、e-learning事業者、通信教育事業者、語学学習教材販売事業者、資格試験運営団体、留学斡旋業者、通訳・翻訳ビジネス事業者等。調査方法は同社専門研究員による直接面談取材及び、電話・FAX によるヒアリング、文献調査を併用した。

 2015年度の語学ビジネス総市場規模(主要14分野合計)は、事業者売上高ベースで前年度比101.7%の8,272億円であった。前年度に引き続き、幼児・子供向けサービス(幼児・子供向け外国語教室、プリスクール、幼稚園・保育園向け英語講師派遣市場)が好調な推移を示すとともに、翻訳・通訳ビジネス市場や語学試験市場などの周辺市場も好調に推移した。

 周辺ビジネスのうち、翻訳・通訳ビジネス市場はグローバル化の進展に伴い、さまざまな分野において英訳・日本語訳の案件を中心に翻訳ニーズは拡大傾向にある。とくに、大手翻訳事業者では、製造業、特許・知財、メディカル(医療・医薬関連)、金融、IT・通信分野、法務・IR分野関連などの案件が増加傾向にあるという。なかでも、IR 関連の翻訳案件は、上場企業における外国人投資家に対する平等・公平な情報開示の推進により、需要が活発化した。語学試験市場においては実用英語技能検定(英検)と TOEICの受験者が増加し、留学斡旋市場ではグローバル人材育成のために教育機関や自治体が留学をサポートする動きが活発化し、好調に推移した。

 2016年度の語学ビジネス総市場規模(主要14分野合計)は前年度比101.6%の8,406億円を予測している。今後も小学校の英語必修化に伴い、幼児・子供向けサービス(幼児・子供向け外国語教室、プリスクール、幼稚園・保育園向け英語講師派遣、幼児向け英会話教材市場)を中心に語学ビジネスの市場規模は堅調な推移を予測している。

 2015年度の翻訳・通訳ビジネス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比103.0%の2,611億円と拡大した。グローバル化の進展に伴い、さまざまな分野において英訳・日本語訳の案件を中心に翻訳ニーズは拡大傾向にある。とくに、大手翻訳事業者では、製造業、特許・知財、メディカル、金融、IT・通信分野、法務・IR分野関連などの案件が増加傾向にある。なかでも、2015年6月のコーポレートガバナンス・コード(上場企業の企業統治における指針・ガイドライン)の制定によって、外国人投資家に対しても平等・公平に情報開示するという動きが顕著になり、株主総会の通知・案内やIR関連資料、(株主招集通知、アニュアルレポート、決算説明資料、財務諸表など)、プレスリリース等に対する英訳の需要が拡大したことが影響しているとしている。

 2016年度もこうした流れが続くと考えられることから、2016年度の同市場規模は前年度比102.3%の2,671億円と拡大推移を予測している。(編集担当:慶尾六郎)