IT専門調査会社 IDC Japanは、国内の製造業および流通業界における、第3のプラットフォーム需要動向調査結果を発表した。調査では、2016年3月に実施したアンケート調査結果の他、ユーザー企業への取材によるケーススタディを踏まえて産業分野ごとの動向分析を行った。
それによると、国内の製造業および流通業における第3のプラットフォームへの投資は、他の産業と比較して高い成長率で推移し、国内第3のプラットフォーム市場をけん引していくとみている。2016年の製造業の第3のプラットフォームへの支出額は1兆2,990億円、前年比成長率10.9%を予測し、流通業は同9,215億円、同12.0%と予測している。
ユーザー企業へのアンケート調査結果から、第3のプラットフォームの組織的な取り組み領域において、製造、流通分野ともビッグデータに加え、産業ごとにニーズの高いテクノロジーが相乗的に活用される構図が見られた。4つの主要技術(4ピラー: ビッグデータ/アナリティクス、クラウド、モビリティ、ソーシャル技術)の単独導入ではなく、技術領域の相互連携により、各産業における業務遂行や事業展開に第3のプラットフォームを活用する動きが加速していくとみているという。また、大手製造業の5割以上が「生産工程」と「保守領域」でIoT(Internet of Things)を導入と回答し、8割以上の大手流通業がオムニチャネルに取り組んでいるとの回答結果が出ている。
調査では、製造業のケーススタディとして、半導体試験装置メーカーのアドバンテストが、IoT技術を搭載した「つながる製品」を新たな「従量課金型」のビジネスモデルの確立に活用している事例を取り上げた。また、流通業ではココカラファインの事例を通し、第3のプラットフォームを活用し新たな「カスタマーエクスペリエンス」の提供を推進するオムニチャネル戦略の社内リーダーが、その能力を最大限に発揮できる体制づくりが成功要因の一つであると分析している。
「ITベンダーは4ピラー単独の事業展開ではなく、相互連携する第3のプラットフォームの専門家として、ユーザー企業が進む変革を支援するべきである。ユーザー企業は第3のプラットフォームの可能性を認識し、その迅速性や柔軟性を武器に、新しいビジネスモデルの展開を積極的に推し進めるべきである」とIDC Japan ITスペンディング マーケットアナリストの岩本直子氏は分析している。(編集担当:慶尾六郎)