16年の国内IT市場はハードウェア市場が各地域でブレーキとなり東京都のみプラス成長

2016年07月31日 11:02

 IT専門調査会社 IDC Japanは、国内IT市場の2016年~2020年の地域別予測を発表した。

 2016年の国内IT市場は、ハードウェア市場が各地でブレーキとなり、東京都(前年比成長率2.0%)以外でプラス成長は見込めないという。特に、北海道/東北地方、北陸/甲信越地方、中国/四国地方、九州地方などの大都市圏以外の地域の成長率はマイナス2%以下と予測しており、2016年も前年に引き続き、大都市圏(東京都、関東地方、近畿地方、東海地方)と大都市圏以外の格差は広がっている。

 大都市圏以外の地域でのIT支出の低迷は、円安時でも円高時でも続いており、構造的な問題であると言えるという。2015年の円安時には、輸出が中心の大企業が多く立地する大都市圏では、業績が好調となっている企業が多くIT投資が増加した一方で、下請け企業の多い大都市圏以外の地域では円安による原材料コストの高騰が業績を圧迫しており、IT支出を抑制した。しかし、円高時になると販売先の大企業の業績が悪化するため、下請け企業の売上に影響が生じ、IT支出が伸び悩むことから、2016年の前年比成長率はマイナス2.9%と予測している。円安時、円高時いずれの場合でもIT支出は伸び悩む結果となっている。

 IDC Japan ITスペンディング グループマネージャーの廣瀬弥生氏は「ITベンダーは、大企業の多い大都市圏向けには、デジタルトランスフォーメーション戦略を提案、推進し、中小企業の多い大都市圏以外の地域においては、地域全体の構造的問題を変革すべく、公的機関に対し公共版デジタルトランスフォーメーションを提案していくべきである」と分析している。(編集担当:慶尾六郎)