住友商事、世界市場への足がかりとして、英国の水事業会社買収

2013年02月06日 14:31

世界の水ビジネスは現在、人口増加や新興国の経済発展をバックボーンに成長を続け、それに伴う民営化事業も各地域で拡大すると予想されている。経産省の試算発表によると、世界の水市場規模は2025年には約87兆円に成長する見込みだ。

 そのような中、住友商事<8053>は欧州住友商事と共同で、英国の水事業会社Sutton&East Surrey Water社(以下、「SESW社」)の持株会社であるEast Surrey Holdings社の全株式を取得したという。今回参入する英国の水事業は、1989年に上水道・上下水道事業会社がそれぞれ民営化されて以降、堅実な規制により安定的にコンセッション方式の事業運営されており、現在、上水道事業会社は12社、上下水道事業会社は10社存在しているという。

 これまで同社は中国、アジア、中東、米国などでの下水処理および海水淡水化のBOOT/BOO事業を中心に実績を重ねてきた。今回、SESW社に役員並びに人員を派遣して経営に参画することで、これまでの多様な水事業の経験を活かし、サービスの改善に努めて主体的に事業運営を行う。また、今後さらなる成長が予想される上下水道のコンセッション事業にも本格的に参入するため、本件の実績を足がかりに世界各地の有望市場で事業展開を図っていくのが狙いだと考えられる。

 世界の水ビジネス市場は年間で数10兆円とも100兆円超規模といわれるほどの巨大市場だが、今後、日本企業がどれだけ参入し、また牽引企業となりえるのか、注目していくところだ。(編集担当:宮園奈美)