一般生活者がマンションの購入を検討する際に、概して新築マンションか、中古マンションを比較検討することとなる。そこに、第3のマンション購入方法として、「リノベーションマンション」といった名称で、販売されている物件が増えてきているという。矢野経済研究所では、国内における買取再販型中古マンションの市場トレンド調査を実施した。調査期間は2016年1月~3月(2015年度第4四半期)、2016年4月~6月(2016年度第1四半期)、調査方法は同社専門研究員による市場トレンド調査・分析。
それによると、2015年度第4四半期(2016年1~3月)の買取再販型中古マンションの推定成約件数(戸数)は、1,979件、推定販売額の総額で約588億円となった。2016年度第1四半期(4~6月)では、1,814件、推定販売額の総額で約573億円となった。
2016年1月から調査を開始したため、現時点では前年との比較ができないが、2016年の月間の販売件数は500~800件で推移しているという。2016年第1 四半期(4~6月)では、1,814件となっているが、年度末期となった 1~3月期の方の成約件数が多いという結果となり、一般的な新築マンションの販売トレンドとほぼ同じと考えるとしている。
また、平均推定成約価格でみると、2015年度第4四半期(2016年1~3月)は約2,970万円/戸、2016年度第1四半期(4~6月)は約3,160万円/戸となった。成約した物件の地域や床面積によって価格にばらつきがあるため、単に価格が上昇傾向とは現段階ではいえないものの、買取のための中古マンションの市場価格が上昇傾向にあるのも要因のひとつと考えられるとしている。
2016年1月から半期(6カ月間)のデータを元に、年間の買取再販型中古マンションの市場規模を推計すると、年間件数ベースで約8,000件、年間販売総額で約2,000億円となる。かつては中古マンションを不動産会社が買取り、再販売する事業は極めて限定的な市場にすぎなかった。現下、都市部では好立地のマンション用の用地も十分ではなく、また地価高騰や建設費高騰といった要因も加わり、国土交通省のデータによると、新築マンションの着工数はここのところ年間10万戸から12万戸で推移している。その一方で中古マンションの流通量は首都圏(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)でも増加傾向にあるという。
今後はシニア世代が保有しているマンションが相続時に売却されるといったことも想定されることから、中古マンションの流通量は増加傾向になるものと推察される。こうしたなか、大手の不動産会社(デベロッパー)や大手不動産会社系列の仲介会社が買取再販型中古マンション市場に参入してきており、今後の動向が注目されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)