BEMS市場は2025年にはエネルギーサービスの付加価値提案の拡大により226億円に拡大

2016年10月25日 06:54

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、システム、サービス単体の提案から「エネルギー+α」の付加価値として設備、資産管理などを含めたトータルソリューションとしての提案が拡大するBAS、BEMS、FEMS、ESPの国内市場を調査した。

 設備の運転データ/エネルギー使用量データを各種センサーで収集し、建物内のローカルサーバーで一括管理・分析を行うシステムである。近年はローカルサーバーを構築しないクラウド型や制御機能や表示機能を持たせたデマンドコントローラー、多拠点統合エネルギー管理システムなどもBEMSと称し、市場はこれら全てを含み、製品機能で主に自動制御型と手動制御型のBEMSに区分し算出した。

 それによると、市場は東日本大震災を契機にデマンドコトローラーを中心に拡大し、2012年度はBEMSアグリゲータ事業が追い風となって自動制御型の普及も進み、アグリゲータ事業最終年度となった2013年度は154億円、導入件数ベースで3.9万件となった。しかし、2014年度はその反動で大きく縮小した。

 2015年度は僅かながら拡大に転じ、141億円、2.9万件となった。機能別では手動制御型が2.2万件、自動制御型は0.7万件となっており、施工も含めたイニシャルコストを比較的安価に抑えることができる手動制御型が依然として多いという。近年、手動制御型は新電力による電力使用情報収集需要やエネルギーデータのみならず、気温、来店者数、テナント別売上など顧客の事業に関わるあらゆるデータの一元的な見える化、管理、マーケティングへの活用など、必ずしも省エネ・省コストを主目的としない導入が増えている。一方、自動制御型は空調機や冷設メーカーが既存ストックの更新時にBEMS機能を付加したコントローラーの拡販を進めており、空調更新に併せて導入件数が伸びているとしている。

 2016年度以降は空調や冷設、電気設備の保安管理などの既存事業の延長で、付加価値の1つとして展開する事業者の安定的な需要と、電力システム改革により電力市場に参入する通信などの新規事業者が自社エネルギー販売の付加価値として、省エネコンサルティングや多拠点エネルギー管理とセットでBEMSの拡販を進めるとみられる。また、国が掲げるエネルギー基本計画では、建物規模に応じたエネルギー管理支援サービスやアグリゲータ事業、ZEBの実現、デマンドレスポンスへの対応を推進しており、EMSに関連した普及支援もプラスに影響するとみられる。手動制御型の安定的な需要と、新規参入事業者や国の施策による自動制御型の普及拡大により2020年度の市場は2015年度比44.0%増の203億円、2025年度には同60.3%増の226億円が予測される。(編集担当:慶尾六郎)