11月9日(日本時間)、アメリカ大統領選が投開票され、共和党のドナルド・トランプ氏の大統領への選出が確実となった。トランプ氏は選挙期間中の度重なる過激な発言で注目されてきた。経済政策では、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への反対や円安ドル高の為替相場を批判しており、今後の政権運営によっては日本経済にも大きな影響を受ける可能性がある。
今回、東京商工リサーチは保有する国内企業データベースと、業務提携するDun & Bradstreet(ダンアンドブラッドストリート、本社・米国)の世界最大級の海外企業データベースを活用し、日系企業のアメリカへの進出状況を調査した。
この結果、アメリカには1,853社の日系企業が進出し5,010拠点を展開していることがわかった。進出拠点の業種は、産業用機械器具卸売業や電子部品及び電子機器卸売業などが多く、日系メーカーが現地での販売を目的に拠点を有しているケースが目立つ。今後の為替の変動状況によっては、日系企業の業績にも影響を及ぼす可能性があるとしている。
アメリカの日系企業5,010拠点のうち、最も多かったのは製造業の1,677拠点(構成比33.4%)だった。卸売業の1,240拠点(同24.7%)、サービス業855拠点(同17.0%)と続く。産業を細分化した業種別でみると、最多は産業用機械器具卸売業の185拠点(構成比3.6%)だった。
次いで、電子部品及び電子機器卸売業の146拠点(同2.9%)、自動車部品、付属品製造業の136拠点(同2.7%)だった。
5,010拠点の日系の支配権最上位企業は1,853社で、日系企業1社当たり2.7拠点だった。支配権最上位企業の本社は東京都が最も多く912社(構成比49.2%)。次いで、大阪府の235社(同12.6%)、愛知県の152社(同8.2%)だった。
トランプ氏優勢が伝えられた9日の東京株式市場は、日経平均株価が一時、前日よりも1,000円を超す下落となった。東京外国為替市場でも円高ドル安が進み、前日より3円以上円高となる局面もみられた。
今回の調査で、アメリカに進出している日系企業は1,853社で拠点数は5,010拠点であることがわかった。現地拠点の産業は、製造業が1,677拠点(構成比33.4%)が最多で、次いで卸売業が1,240拠点(同24.7%)が多いという。
卸売業を細かくみると、産業用機械器具卸売業が185拠点、電子部品及び電子機器卸売業が146拠点、自動車付属品及び部品卸売業が82拠点だった。日系メーカーがアメリカに販売目的で拠点を持つケースが目立つ。今後、為替が円高ドル安基調で推移した場合、こうした日系企業の業績に悪影響を及ぼす可能性があるとしている。
また、トランプ氏はTPPに批判的な立場にあるとされ、輸出の形態で現地拠点に製品を供給しアメリカ国内で販売する商流の日系企業の業績に暗い影を落としかねないという。これらのことから、今回のアメリカ大統領選挙の結果は、日系企業の業績に短期的にはマイナスの影響を与えることが想定されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)