日立製作所と富士重工業が、富士重工業のエコテクノロジーカンパニーが展開する風力発電システム事業を日立に事業譲渡することで基本合意したと発表。2012年7月1日に譲渡完了予定とのこと。
日立が発電機や電力制御部分の設計・製造、および風力システムの販売と据付を担当し、富士重工業が風車本体のナセル、ブレード、タワーの設計・製造を担当することで、協業関係を構築し事業展開を行ってきた両社。2003年には2000kW級の風力発電システムを共同開発し、2005年12月に茨城県神栖市波崎に試験機を設置して以降、国内の6箇所で累計25基の風力発電システムを納入している。
今回の事業譲渡により、日立は、大型化に向けた設計・開発力を強化するとともに、今後の市場ニーズに迅速に対応する体制を強化。製造・販売から保守サービス・系統連系・安定化を組み合わせたトータルソリューションの提供を推進していくことで、さらなる事業拡大を図る。一方、富士重工は、自動車をはじめとした他事業への経営資源の集中を図るとのこと。
再生可能エネルギーが注目を集めているものの、矢野経済研究所によると、2007年度以降、国内の風力発電システム市場規模(運転開始ベース)は2006年度実績を超えられず、横ばい状態が続いているという。日本風力発電協会のデータによると、日本の風力発電累積導入量は2011年末時点で世界13位、新規導入量は世界21位と低迷していることからもその現状は窺える。建設費補助の縮小・中止後、固定価格買取制度への移行までに助成措置の空白期間が存在している為とみられているが、平地の少ない日本において、丘陵に設置できることや、今後は洋上への展開が期待されていることなどから、固定価格買取制度への移行を機に、2015年度には約1290億円、2020年には3880億円にまで急拡大すると予測されている。この予測を現実のものとすることが出来るであろうか。風力発電システム市場は、ここ数年が勝負の年と言えるのかもしれない。