1800万台の自動車グループ誕生。トヨタとスズキ、業務提携に向け覚書締結

2017年02月07日 09:05

Toyota_Suzuki

トヨタ、ダイハツ、日野、そしてスバル、マツダ、いすゞのグループにスズキも加わる

 トヨタ自動車とスズキが開発や調達など広範囲な分野で包括提携することで大筋合意したことと発表された。「社会課題の解決」および「自動車社会の健全で持続的な発展」に両社で貢献していくことを念頭に、業務提携に向けた検討を開始する覚書を締結したという。2016年10月から協力関係の構築に向けた本格的な検討を進めてきた結果の両社合意だ。

 今回、両社は体的な協力テーマとして「環境技術」「安全技術」「情報技術」「商品・ユニット補完」などについて、協業の実現に向け検討に入る。同時に、株の持ち合いなど資本提携も検討する。トヨタ、ダイハツ、日野自動車に加えスバル、マツダ、いすゞなど提携先も含めると年間販売台数が1800万台に達する巨大自動車連合が始動するというわけだ。

 今後の協働・開発ではIT(情報技術)の活用や自動運転技術、世界的ニーズが高まる電動化などが対象となりそうだ。調達では海外を含めて競争力が高い取引先を相互に紹介する可能性がある。

 自動車業界ではIT企業など異業種を巻き込んだ競争が激しくなっており、影響力を維持するには同業との協力拡大が必要だ。スズキは2015年にフォルクスワーゲン(VW)との資本・業務提携を解消し、新たな後ろ盾としてトヨタに協力を仰いでいた。

 スズキとトヨタ子会社のダイハツの国内軽自動車シェアを合算すると60%を上回る。独占禁止法に抵触するともいわれたが、トヨタとスズキの提携後もダイハツとスズキはそれぞれのブランドで軽自動車販売を続行する。

 トヨタは2000年代半ばに富士重工業やいすゞと相次いで資本・業務提携したほか、昨年はマツダとの提携を発表した。多くのメーカーとの連携を広げて、自動車のIT化や自動運転の普及のための基本となる規格策定を有利に進める狙いもある。

 トヨタは、この1月、フォード・モーターと共同でスマートフォンと自動車を連携させる技術開発い向けたコンソーシアムを設立し、富士重、マツダ、スズキも加わっている。

 新興国における生産・販売での協力も模索する。スズキは自動車市場が急拡大しているインドで高いシェアを握る。トヨタとしても、このスズキの強みを活かした国際戦略や部品の調達、相互供給などで新興国事業の強化につなげたい考えだ。(編集担当:吉田恒)